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記者の眼

社内ブログ/SNSは「無法地帯」でいこう

高橋 秀和=日経コミュニケーション 2007/01/17 日経コミュニケーション

 「ブログ」や「SNS」といったWeb 2.0的な情報共有ツールの社内利用が進んでいる。「利用の敷居が低く,従業員が持つ情報を呼び込みやすい」というメリットから,活用事例や社内利用向け製品が充実しつつある。日経コミュニケーション2007年1月15日号でも,「企業内ブログ/SNSの威力」と題した特集を組んだのだが,その取材の過程で記者はあることを恐れていた。それはユーザーやベンダーの口から,「内部統制」の4文字が語られること。「社内に埋もれていた情報を引き出す」というブログ/SNSの効果を削ぎかねない要素だからだ。

 その懸念は,取材に着手した2006年11月に野村総合研究所が開催した「ITロードマップセミナーAutumn 2006」で耳にした亀津敦・副主任研究員の指摘(参考記事)に端を発する。亀津氏はこのセミナーで「社内SNSを導入しなければ情報漏えいのリスクが高まる」という見解を披露した。mixiやGREEなど社外のSNSを使って業務上の情報共有を図る従業員が増えており,社内SNSのような情報共有のニーズを満たすシステムを用意しなければ情報漏えいの危険性がある,という論旨だ。

 この言葉を聞いて「なるほど説得力がある」と記者は感じた。社外への漏えいリスクを説くだけではなく,ユーザーやベンダーがブログ/SNSを監視ツールと組み合わせれば,内部統制という“錦の御旗”を決裁者に対して振れるのではないか。そう思ったのだ。内部統制に代表される企業統治の問題は,多くの企業にとって目下の最優先課題。社内ブログ/SNS導入に際しての経営陣への説得力が増す。

 だが,内部統制の観点から導入された社内ブログ/SNSでは,従業員の多くは「監視下でのコミュニケーション」を嫌って,利用しなくなるのではないだろうか。

「幻滅期」を乗り切る殺し文句はセキュリティ?

 今のところ,社内ブログ/SNS市場は,活用事例や製品が充実しつつある時期だ。「日報のブログ化による検索性の向上」や「社内SNSによるコミュニケーションの活性化」といった目的の下,個人の人となりや人脈が分かるコミュニケーション・ツールとして普及し始めている。その効果と特徴をアピールすることだけでも,導入時の説得材料には事欠かない。価格も10ユーザー/10万円程度が相場で,関連ベンダーも売り文句に困ることはないだろう。調査会社の米ガートナーが提唱する「ハイプ曲線」(hype cycle)理論に当てはめると,「Peak of Inflated Expectations」(過剰な期待の頂点)期の頂点付近にあると言える。

 ハイプ曲線は,ガートナーがIT関連技術に対する期待値の推移をモデル化したもの。つま先を右向きにした長靴を横から見たような曲線を描く。新技術の登場から一気に期待が高まり,その反動として幻滅(Trough of Disillusionment)され,ゆっくりとした時間をかけてその真価が再認識された後に普及する,というモデルだ。このモデルに従えば,社内ブログ/SNSは,早ければ2007年内にも幻滅期を迎える。多くのIT技術と同様,社内ブログ/SNSが全企業にとっての解となる訳ではないからだ。

 もっとも同モデルで言う幻滅はあくまで「過剰な期待」が消え去ることであって,社内ブログ/SNSが持つ威力を減じるものではない。しかしこうした冬の時代を乗り切る手段として,ユーザーやベンダーがそれぞれの立場で内部統制を振りかざすとなると,話は別だ。「従来テキストとして共有されてこなかった情報を共有する」という目的の達成にとって,実際にブログ/SNSを利用するエンドユーザーに「社内ブログ/SNS=監査有り」のイメージを植え付けるのは逆効果でしかない。社内ブログ/SNSがエンドユーザーの心をつかめなければ,ハイプ曲線に乗れなかった技術の行く末として,ガートナーが定義する「ニッチ」,さらには「絶滅」という結末を迎える可能性さえある。

成功の鍵は緩やかな運営ポリシーにあり

 事実,NECやNTT 東日本,NTTデータなど,数千人レベルで社内SNSを利用しているユーザーの声を聞くと,その運営ポリシーは良い意味で「適当」だ。(1)グループ・ブログやコミュニティの作成権限を全ユーザーに開放すること。(2)運営ルールを最低限に抑え,自治に任せること,という点が共通項となる。社内情報システムの運営ポリシーとしては異色だが,インターネットのサービスでは当たり前のポリシーだ。

 例えばNTTデータやNECといった大規模ユーザーは,ユーザーが自由にグループ・ブログやコミュニティを作れるようにしている。さらに,運営ルールは「誹謗中傷をしないこと」など最小限に抑えている。実名が基本,しかも実際に顔を合わせる機会が少なくない社内利用では自浄作用が働くからだ。運営者も利用者の一人として,自治ルールの議論に参加する。

 こうした,社内の情報システムの運営ポリシーとしては「無法地帯」とも呼べる柔軟さが,利用者を呼び込み,公私を交えた情報共有の活性化につながる。熱い議論の最中にあらゆるルールが吹き飛ぶ場面もあるが,そうした場合は運営者や他のユーザーが問題解決に乗り出す。ある運営担当者は「人事部に(熱い議論を)問題視しないよう進言した」と舞台裏を打ち明ける。

試金石となる守旧派ベンダーの統合製品

 取材を終えて見れば,「社内ブログ/SNS監視時代」を思わせるロードマップはユーザー,ベンダーともその兆候は見えず,懸念は杞憂に終わった。2007年は全文検索や業務システムとの連携など,社内のITツールとしての性格が強まる年になる見込みだ。例えば,野村総合研究所は2006年11月に「TRUE TELLERイントラブログ活性化支援システム」という社内ブログの分析ツールを出している。これは,その名の通り情報共有のハブとなる人物を解析する活性化ツールだ。

 とはいえ,社内ブログ/SNSが活性化ツールとして浸透すればするほど,内部統制の枠組みから外しづらくなるなるのは必至。いずれは活性化と統制の折り合いをつけていく必要に迫られる。その行く末を占う鍵となりそうなのが,米IBMや米マイクロソフトといった,社内情報共有における「守旧派」ベンダーのブログ/SNS製品だ。

 既にグループウエア最大手の米IBMは2006年9月,「ノーツ/ドミノ」にブログ機能を搭載した。一方,ノーツ/ドミノを「Exchange」で追うマイクロソフトは, 2006年11月投入のポータル製品「SharePoint」新版にブログとSNS相当の機能を取り込んだ。これらの製品は,内部統制を支援するための充実した管理機能を備えている。さらに,2007年後半にはIBMは「Lotus」ブランドのSNS製品を単体で投入する。

 ノーツ/ドミノやExchangeといった,実績を持つ社内情報共有システム発の社内ブログ/SNSが情報システム部とエンドユーザーの心をつかみ,成功事例に顔をのぞかせるのか。それともエンドユーザーにとって馴染みやすいシンプルな製品・サービスが引き続き脚光を浴び続けるのか。2007年は社内ブログ/SNSの理想型がはっきりする年になりそうだ。

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