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書かずにはいられない「社内ブログ」の魅力とは?

2006/10/06
竹内 靖朗=出版局

 いまや,仕事でメールを利用しない企業はほとんどない。上司から部下へ送る仕事の指示,部下から上司へ送る日報,さらには会議の議事録や,部署をまたいだ同期の飲み会のセッティングなど,社内のあらゆるコミュニケーションでメールが利用されている。

 メールは便利だが,問題も起こる。処理しなければならないメールの数が増えると,重要なメールを見落としてしまうことがある。一日のうちに数十通,数百通とメールをやり取りする人も少なくない。全社員に一斉送信された業務手続の変更メールや,プロジェクトで情報共有するためのメーリングリストなどをチェックし忘れて,結果として大きなトラブルが発生することもある。「例の件,メールしたはずだけど」「すいません,そのメールが見つからないので,もう一度送ってください」というような経験は,誰にでもあるのではないだろうか。

 こういったミスを防ぎ,社内の情報共有やコミュニケーションの効率を高めるために,企業もいろいろと工夫を重ねてきた。その典型が,グループウエアの活用だ。しかし,「あなたの会社はグループウエアを活用できていますか?」と質問すると,たいていの人が首を横に振る。理由を尋ねると,「なんとなく使いづらくて使わなくなってしまった」という答えが多い。「スケジュール管理を使おうとしても,利用している社員が少なくて意味がない」「掲示板でアイデアを募っても,社員が遠慮して書き込みがほとんどない」というのが,多くの企業での現状のようだ。

社内ブログの多くはボトムアップで導入

 そんな中,情報共有のための新しいツールとして注目を集めているのが,「社内ブログ」だ。企業が商品やサービスの宣伝のためにブログを運営することも珍しくなくなったが,社内ブログはイントラネットの中だけで公開するもの。社員同士の情報共有やコミュニケーションに利用されている。

 社内ブログの利用方法はさまざまだ。カシオ計算機では,総務や営業部門が,社内向けホームページを作成するために,ブログを活用している。つまり,「コンテンツ管理システム」(CMS)としての利用だ。また,広報部門が運営する「デジタル★フォトギャラリー」というブログでは,社員が写真を投稿して親睦(しんぼく)を図れるようになっている。デジタルカメラメーカーならではの利用方法だ。

 ユニクロでは,店舗と本部の間で情報をやり取りするためにブログを活用している(関連記事「ユニクロが社内ブログで店舗情報発信を強化」)。本部からの通達にブログを使うだけでなく,本部から店舗に「このチラシはどうか」と質問し,店舗側がそれに答えたり,店舗のスタッフが陳列方法について提案したりすることもある。一方通行の上意下達ではなく,店舗側からも広く意見を募れるというわけだ。

 こうした社内ブログの盛り上がりを受けて,サイボウズやネオジャパンといったソフト・ベンダーも相次ぎ社内ブログ構築ソフトを投入しており,ブログ・ソフト大手のシックス・アパートも企業向け製品を強化している。

 社内ブログを利用するメリットは何だろうか。技術的な面に着目すると,ブログには誰でも手軽に投稿できたり,蓄積した投稿の分類や検索が簡単にできる,という利点がある。だが,社内ブログがグループウエアと決定的に違うのは,使っていて“楽しい”ということではないだろうか。

 通常,グループウエアなどの情報システムは,トップダウンによって導入される。社内のシステム部門や経営層がツールを選定し,社員は「このように使いなさい」と利用方法まで指定される。人間は,このように押し付けられたものに対して,愛着を感じたり,自分から積極的に使ってみようという気持ちになることはあまりない。実際,グループウエアを「使っていて楽しい」という話は,ほとんど聞いたことがない。

 一方,社内ブログを効果的に利用している企業では,トップダウンで導入するのではなく,ボトムアップでブログを使い始めたというところが少なくない。つまり,ある部門で「この仕事のためにはブログを活用するといいんじゃないか」という声が上がり,システム部門を動かして導入にこぎつけるという,“草の根”的な立ち上がり方だ。

“社内ブロガー”が存在感を増す

 さて,社内ブログがスタートすると,熱心に更新する「社内ブロガー」が現れる。彼らが頻繁にブログを更新するようになると,「社内読者」も積極的にコメントを付け,議論が深まっていく。そして,新しいサービスを開発するためのアイデアが生まれたり,プロジェクトの情報共有がスムーズになったり,異なる部署の間で意思の疎通がはかれたりするのだ。社内ブロガーは,ブログを更新することで,自らの社内での存在感を高めることができる。それがモチベーションとなって投稿を続ける。つまり,「使っていて楽しい」わけだ。

 日本オラクルのシステム製品統括本部アドバンストソリューション本部では,部署の全員がブログを持っている(図1)。ブログのテーマは,社員によってさまざまだ。新しく投稿したアイデアから新しいソリューションの開発につながることもあるという。

図1●日本オラクルのシステム製品統括本部アドバンストソリューション本部では,部署の全員がブログを持っている

 ネットリサーチのマクロミルでは,関西支店と本社の社員の間でコミュニケーションを取るためにブログを活用している(図2)。関西支店の社員が持ち回りでブログの更新を担当し,東京本社の社員からコメントが付く,という図式だ。遠隔地の社員との親睦を深めるのに一役買っている。

図2●ネットリサーチのマクロミルでは,関西支店と本社の社員の間でコミュニケーションを取るためにブログを活用している

 もちろん,社内ブログには課題もある。社内ブログに書いていいことといけないことを規定で明示しておくべきか,より多くの社員にブログを書いてもらうにはどうしたらいいのか,などだ。それでも,社内ブログは,従来よりも“カジュアルな”社内コミュニケーションを実現する。うまく活用すれば,部署の壁を越え,社内の閉塞感を打ち破り,コミュニケーションを活性化させることができるだろう。そのような事例が,今後さらに登場することに期待したい。

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