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ユニクロの社内ブログの画面。本部からアイデアを募ると、店舗から書き込みが集まる

 ユニクロが、本部・店舗間の情報共有のための社内ブログ「社内情報ウェブ」の活用を拡大している。今年3月に導入。店舗からの情報の投稿数は7月の1カ月間で約1000件に達した。既に国内全店(約700店)の店長・店員が利用しているが、今後英語化して、米国などの海外店舗でも利用できるようにする。

 ユニクロは昨年10月から「第三世代SPA」と称して、従来型SPA(製造小売業)から進化した「情報発信製造小売業」を目指す戦略を掲げる。

 ユニクロのCIO(最高情報責任者)に当たる岡田章二執行役員は、「第三世代SPAでは、お客様の反応など店頭の情報は重要な要素の1つ。これを収集して整理するために、ブログがいいと判断した」と話す。従来も電子メールなどを使ったやり取りはあったが、テーマ別に情報を整理しにくかったという。

ユニクロのCIO
ユニクロのCIO(最高情報責任者)である
岡田章二執行役員

 社内ブログでは、まず本部が「本部から店舗への質問」を書き込む。原則として事業部長レベルの責任者が、自分の言葉で書き込む。店舗側には各店2台のパソコンがあり、これを使って質問に対する回答を書き込む。携帯電話からの書き込みも部分的に許可している。

 例えば本部が「スカートの販売についてどう思うか」と書き込むと、店舗側が意見を書き込む。ユニクロはこれまでスカートを本格的に扱っていなかったが、店舗の前向きな意見を踏まえ、今年6月から全店で投入した。新商品投入後には、陳列の仕方や、POP(店頭販促)の使い方などが投稿されている。

 折り込みチラシについても、従来は本部主導で制作していたが、社内ブログを使って事前に店舗の意見を聞くようになった。本部がチラシを提示すると、店舗から「子供服も入れたほうがいい」「今の季節はキャミソールを載せたほうが見栄えがいい」といった意見が1回につき50件以上集まる。「週次売上推移を見ると、以前よりチラシ広告の精度が上がっていることが分かる」(岡田執行役員)

グループウエアとはすみ分け

 ユニクロは、以前から「UMIX」と呼ぶグループウエアを運用し、本部から店舗への各種通達などに活用している。「UMIXは情報を分野別に載せる“硬い”場。少し先の商売について自由に議論する場としてブログがよいと考えた」(岡田執行役員)。UMIXは稼働から数年が経過しており、「新しいネット技術を積極的に取り入れたい」という狙いからも、ブログを併用している。

 社内ブログは、個人のウェブ日記での利用が多いシックス・アパート(東京・港)の「Movable Type」をカスタマイズして構築した。投資額は千数百万円とみられる。