米Googleが検索結果における個人に関する情報の削除を開始したと、複数の海外メディア(米Wall Street Journal米Washington Post英Financial Timesなど)が報じた。欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)が下した「忘れられる権利(right to be forgotten)」を支持する裁決に対応するための措置で、削除作業は現地時間2014年6月26日に始まったと見られている。

 Googleは5月13日に、スペインの男性が自身に関する過去の情報へのリンクを検索結果から削除するよう求めてGoogleを相手取って起こしていた裁判で、「検索エンジンプロバイダーは、一定の条件のもと、個人情報を含むWebページへのリンクを検索結果から削除する義務がある」とする判決を受けた(関連記事:Googleは個人情報へのリンクを削除する責任あり、欧州司法裁の判決)。

 これに応じてGoogleは、ユーザーが検索結果からの情報削除を依頼するためのツールを5月末までに設置。具体的な処理方法として、リンクが削除された検索結果ページの下部に説明の注釈を表示することを検討中だと6月上旬に報じられていた(関連記事:Google、「忘れられる権利」に基づく削除を明示する手法を検討中)。

 Googleは「今週、受け取った削除依頼について行動を開始する」と声明を発表し、各依頼について専用チームが個別に審査にあたることを明らかにした。GoogleのFAQページには、「欧州でユーザーが名前を検索した際に、欧州のデータ保護法に従って検索結果が変更された可能性があることを示す告知が掲載される場合がある」との記述が加えられた。

 Googleは削除作業を始める前夜、検索エンジンの技術インフラを変更したという。削除作業の開始とともに、依頼が認められてリンク削除が行われたユーザーへの個別通知も始まっている。

 現在削除が終わっている件数は「ごくわずか」だとしており、Googleがこれまで受け取った依頼件数や削除を実行した件数については明らかにしていない。同社が依頼フォームを開設してから4日間で4万1000件以上の依頼があったという。

 なお、忘れられる権利に基づく情報削除は欧州サイトでのみ行われ、米国サイトなどには反映されない。