米Googleは、欧州ユーザーの要求に応えて検索結果から個人に関わる過去の情報を削除する際、削除されたことが他のユーザーから分かるようにする手法を導入する計画だと、複数の海外メディアが現地時間2014年6月9日までに報じた。

 Googleは先月末、欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)が下した裁定に応えて、ユーザーが検索結果から不適切な個人情報を削除するよう求めるためのツールを設置した(関連記事:Google、「忘れられる権利」の裁定を受け、削除要請ツールを設置)。ECJは5月13日に、スペインの男性が同社を相手取って起こしていた裁判で、「検索エンジンプロバイダーは、一定の条件のもと、個人情報を含むWebページへのリンクを検索結果から削除する義務がある」とし、「忘れられる権利(right to be forgotten)」を支持する判断を示した(関連記事:Googleは個人情報へのリンクを削除する責任あり、欧州司法裁の判決)。

 英Guardianの報道によると、Googleは、忘れられる権利に基づく要求に応じてリンクが削除された検索結果ページの下部に、説明の告知を表示することを検討しているという。

 現在Google検索サイトでは、著作権法などに基づく要求に応えて検索結果が削除された場合、検索結果ページの下部に、削除が行われたことを明示する文章が掲載されるが、それと類似した手法になると見られる。

 またGoogleは、半年ごとに更新する「Transparency Report(透明性レポート)」で、忘れられる権利に基づく削除要求に関するデータを公表することも計画している。

 GoogleはECJの判決以来4万1000件の削除要求を受け取っており、その内容は31%が詐欺、20%が重大な犯罪、12%が幼児ポルノに関したものだという(米CNETの報道)。

 なお、Googleが米デジタルミレニアム著作権法に基づく要請に応じて検索結果を削除すると、告知のリンクから、オンラインの表現の自由に関するリソースサイト「Chilling Effects」で削除に至った詳細を確認できるようになっている。米Wall Street Journalは、忘れられる権利に基づく削除でも同様の方法がとられると見ており、「削除済みコンテンツについて、より詳細な情報が公開される可能性がある」と指摘している。