「インターネット広告はパソコンやスマートフォンだけではなく、将来は冷蔵庫や車のダッシュボードにも掲載されるようになる」――。米Googleがそうした展望を描いていることが明らかになったと複数の米メディア(米Wall Street Journal/米New York Times/米PCMag)が現地時間2014年5月21日までに報じた。
Googleが昨年12月に米証券取引委員会(SEC)に出した書簡が5月20日に公開され、その中に記してあった内容を米メディアが一斉に取り上げた。それによるとGoogleは将来、ネット広告がさまざまな機器に配信されるようになると考えている。
Wall Street JournalによるとSECはGoogleに対し、米Facebookや米Twitterと同様にモバイル端末経由の広告収益に関する財務情報を開示するよう求めている。これに対しGoogleは、モバイルプラットフォームの定義が曖昧になっている状況で、モバイルという収益区分は理にかなっていないと主張、SECが求めるような情報開示はしないという方針を示した。
書簡の中でGoogleは次ぎのように述べている。「多くのスマートデバイスが市場で勢いを増す中、モバイルの定義は変化し続ける。今から数年後、当社のような企業は広告をはじめとするコンテンツを冷蔵庫や、車のダッシュボード、サーモスタット、眼鏡型端末、腕時計型端末など、さまざまな機器に配信するようになるだろう。これらの媒体はその可能性の数例にすぎない」。
そうしたうえでGoogleは、パソコン向け広告とモバイル向け広告を1つのパッケージとして提供する「Enhanced Campaigns」を例に挙げ、同社の考え方とユーザーの消費行動が一致していると説明した。書簡の中で同社は「ユーザーは複数の機器を通じ、広告を閲覧したり商品を購入したりしている。当社の収益に対する考え方もこれと同様にデバイスにはとらわれない」と述べている(関連記事:Googleが「AdWords」を強化、マルチデバイス向け広告管理を簡素化)。
なお、Googleは同社が買収を決めた家庭用サーモスタットの企業、米Nest Labsについては広告モデルを導入する予定はないとコメントしている。「この書簡は年次報告書(Form 10-K)を補足するものとして昨年12月に提出した。当社がNest Labsの買収を決めたのは今年1月であり、(書簡は)Nest Labsの製品ロードマップを示すものではない」としている(関連記事:Google、元Apple幹部が創業したNest Labsを32億ドルで買収へ)。