盗まれたスマートフォンをリモートで操作不能にできる「kill switch(キルスイッチ)」機能の実装を義務づける法案が、現地時間2014年5月8日に米カリフォルニア州上院を通過した。複数の米メディアの報道(New York TimesSan Jose Mercury Newsなど)によると、同法案は今後カリフォルニア州議会に回され、8月後半にJerry Brown州知事が署名に向けたレビューを行う見通し。

 米国ではスマートフォン窃盗事件が増加の一途をたどっており、サンフランシスコで昨年盗まれたスマートフォンは2400台と、前年と比べ23%増加した。ニューヨークやワシントンでも同様の傾向が見られ、米国全体における2013年の盗難台数は約310万台で、前年の160万台から2倍近くに急増した。

 手口の凶悪化も問題となっており、米連邦通信委員会(FCC)の調査によれば、携帯電話の強奪が強盗事件の3分の1を占めている。こうした事態を受け、サンフランシスコのGeorge Gascon地方検事やEric Schneidermanニューヨーク州検事総長らは昨年6月にスマートフォン窃盗の撲滅を目指す「Secure Our Smartphones Initiative」を立ち上げ、kill switch機能がスマートフォン盗難抑止に有効だと提案していた(関連記事:米州当局がスマホ窃盗撲滅を目指し協力、「kill switch」実装を提案)。

 カリフォルニア州上院では、4月に同法案の投票を行った際、賛成票が2票足らず承認に至らなかった。その後修正を加え、今回26対8で可決された。同法案は、2015年7月1日以降、同州で販売されるすべてのスマートフォンにkill switch機能の基本実装を義務づけている。

 米Appleと米Microsoftはこれまで同法案に異論を唱えていたが、今週、反対意見を取り下げたという。