ネットワールドは2014年4月16日、VMware仮想環境のサーバー内蔵ディスクを共有ストレージ化するソフト「VMware Virtual SAN」(VSAN)について、導入支援サービスと教育プログラムを用意したと発表した。さらに、要望に合わせてVSAN環境を構築した上で出荷するサービスも用意した。各サービスの価格は個別見積もり。

 提供するサービス例として、「設計支援サービス」では、事前のヒアリング、基本構成の決定支援、定例ミーティング、構築立会いなどを実施。オプションで、要件定義書、環境設計書、運用設計書を作成する。「導入サービス」では、オンサイトでの事前ヒアリング、構成内容の確認、インストールに必要なパラメーターの決定、設定シートの作成、各製品のインストールと動作確認、引渡し説明を実施する。「運用手順書作成サービス」も用意した。

 なお、前提となるVSANとは、サーバー仮想化ソフト「VMware vSphere」のカーネルに組み込んで使う、共有ストレージソフトである(関連記事:VDIを安価にする新ストレージ技術「VSAN」、ヴイエムウェアが投入)。VMware vSphereを搭載した複数台(最小3台~最大32台)の物理サーバーでクラスターを組み、物理サーバーが内蔵するディスクをクラスター全体でプール化し、共有ストレージとして利用できるようにする。安価なPCサーバーと内蔵ディスクを共有ストレージとして使えるようになるため、高価な共有ストレージを購入する必要がなくなる。

 ネットワールドによるVSANのライセンス費用(参考価格)は、通常ライセンスが1CPU当たり37万6600円。従来の共有ストレージ製品「vSphere Storage Appliance」(VSA)からVSANへのアップグレード費用は、VSAN 6CPUライセンスへのアップグレードで173万5200円。VDI(デスクトップ仮想化)ソフトのVMware Horizon Viewを使う場合は、CPUライセンスは不要で、同時接続10ユーザーで7万5400円、同時接続100ユーザーで75万3900円。

複数の共有ストレージ化製品を用途に合わせて売り分ける

 なお、今回VSANへのアップグレードパスを用意したVSAとは、VSANと類似の機能を持つ製品(サーバー内蔵ディスクを共有ストレージ化する製品)の一つである。VSAは仮想アプライアンス型のストレージとして実装されており、VSANよりも小規模となる最大3ノードの共有ストレージを実現する。このため主に、HAやライブマイグレーションによる可用性の担保や、小規模のVDIシステムに利用されてきた。

 これに対してVSANは、最大32ノードまで容量と性能を拡張できる。さらに、サーバー内蔵のフラッシュストレージをディスクのキャッシュとして利用できる。32ノード時の容量は最大4.5ペタバイトで、ストレージI/O性能は、読み取りが最大200万I/O毎秒、読み書きが最大64万I/O毎秒と、より高性能で大規模な共有ストレージを代替できる。このため、大規模VDIシステムやデータベースなど、幅広い用途に利用できる。

 VSANはVSAの直接の後継ではないが、米VMwareはVSANの登場とともに2014年4月をもって新規販売を停止し、代わりにVSAからVSANへのアップグレードパスを用意している。ただし、3ノード構成の小規模で運用する場合、VSAのライセンスよりもVSANのライセンス(CPU単価)の方が高くなるという。なお、ネットワールドでは、VSAと同様の製品として英StorMagicの「StorMagic SvSAN」を販売している。今後は、用途に応じてStorMagic SvSANとVSANを売り分ける。