写真1●MNP利用件数の推移(総務省会合資料より)
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写真2●MNP利用者に約3400億が支払われており、不公平性が拡大しているとする(総務省会合資料より)
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 「現在の通信市場の競争はあまりにもゆがんでいる。ここを何とかしないと、2020年の将来像も描けない」――。総務省が2014年3月27日に開催した「2020-ICT基盤政策特別部会 基本政策委員会」の第2回会合にて、外部有識者としてプレゼンテーションした野村総合研究所(NRI)の北俊一上席コンサルタントはこのように指摘した。

 基本政策委員会は、総務省が立ち上げた2020-ICT基盤政策特別部会の下で、世界最高レベルの情報通信基盤のさらなる普及・発展に向けた電気通信事業のあり方を検討する専門委員会。数年に一度の競争政策の棚卸しの場となるため、本格的な議論が開始される前から通信事業者は戦々恐々としている(関連記事1:NTTグループの「セット割」解禁検討か、総務省が乗り出した制度見直しの今後、関連記事2:“泣き”が入るNTTドコモ、規制緩和はなるのか

MNP利用件数は年間600万件超、高額キャッシュバックが影響

 北氏が足下の競争環境について、「ゆがんでいる。早急に是正しなければならない」と強く非難したのが、昨今、携帯各社の間で過熱しているMNP(モバイルナンバーポータビリティー)ユーザーを対象とした高額キャッシュバック問題である
(関連記事:MNP偏重キャッシュバックがもたらす歪み、業界に流れる不正の噂)。

 総務省へのヒアリングによってNRIが調査した結果によると、MNPの利用件数は2012年、2013年とうなぎ登りに増している(写真1)。「2013年度年間でMNP利用件数は600万件を超える見込み。高額キャッシュバックが少なからず影響を与えている可能性がある」(北氏)。高額キャッシュバックを目当てに、短期間にMNPを繰り返すことで月に数十万円を稼ぐユーザーも現れている。