総務省は2014年3月11日、2020年代の情報通信のあるべき姿を議論する「2020-ICT基盤政策特別部会 基本政策委員会」の第1回の会合を開いた。基本政策委員会は、2020-ICT基盤政策特別部会の下で、世界最高レベルの情報通信基盤のさらなる普及・発展に向けた電気通信事業のあり方を検討する専門委員会。

 今回は第1回の会合ということもあり、各委員が自己紹介を兼ねて問題意識を発言、共有して終了した。議論の内容は、MVNO(仮想移動体通信事業者)の活性化やSIMロック解除の促進、非対称規制に対する考え方、ユニバーサルサービス制度のあり方など多岐にわたった。

 中でも指摘が多かったのは、携帯電話各社によるキャッシュバック競争で生じる公平性の問題。現状は、事業者を頻繁に切り替えるユーザーがキャッシュバックで得する状態となっており、その原資は「既存ユーザーが支払う通信料から捻出されている」と言える。「公平性と効率性のバランスをうまく保つことが必要」や「(携帯電話事業の)垂直統合モデルがこのような商慣行を引き起こしている」などの意見が出た。

 携帯電話事業に関しては、大手3社に集約されてきており、膨大な設備投資を考えると新規参入が難しい状況。「協調的な寡占産業になっており、(NTTグループの)セット割の解禁で割り引きがまた多様化・複雑化すると考えると、検討の意欲が萎える」といった意見まで飛び出した。規制の考え方についても、「マーケットの定義によって変わるのでどう考えるべきか」「通話主体からデータ通信主体へのシフトが必要」「個々の会社ではなくグループ一体で考えるべき」などの意見が出た。

 ユニバーサルサービス制度については「対象を広げるべき」との声が多い半面、「単純に対象を広げてユーザーに一律で負担を強いるのは難しい面がある。現行の制度には限界もあり、根本から考え直すべき」といった指摘も出た。

 4月には通信各社や業界団体による公開ヒアリングを3回に分けて実施する。2回目の4月15日にはNTT、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクのトップがそろい踏みする予定で、各社が今後の通信業界のあるべき姿をどう示すのかに注目が集まる。同時に、昨今のキャッシュバック競争に対する批判が集中するのも必至で、熱い議論が繰り広げられそうだ。