日本ヒューレット・パッカードは2014年2月6日、データバックアップソフトの新版「HP Data Protector 8.1」を発表、同日販売を開始した。新版では、バックアップジョブをデータや業務の優先度に応じてスケジューリングできるようにしたほか、バックアップNAS装置が備える重複排除機能との連携を強化した。

 HP Data Protector(旧称はHP OpenView OmniBack II)は、ネットワーク環境で利用できるデータバックアップソフトである(関連記事:日本HP、重複排除を強化したデータバックアップソフト新版)。(1)バックアップ対象サーバー(バックアップ対象の業務データにアクセスするエージェント)、(2)メディアサーバー(バックアップ先ストレージにアクセスするエージェント)、(3)管理サーバー(バックアップを一元管理するサーバー)---で構成する。

 機能面での特徴の一つは、バックアップデータの転送経路として、管理サーバーを仲介せずに、バックアップ対象サーバーからメディアサーバーに直接データを転送できること。別の特徴の一つは、メディアサーバー、バックアップ対象サーバー、管理サーバーのいずれの場所でも重複排除機能を利用できること。バックアップジョブごとに重複排除の実行場所を使い分けられる。

 ライセンス上の特徴は、バックアップ対象サーバーやメディアサーバーの台数に依存しないライセンスを採用し、管理サーバーのライセンスだけで運用できること。管理サーバーの価格(5%消費税込み)は、Windows版とLinux版が18万7950円、UNIX(HP-UX)とSAN環境向けが70万3500円。

バックアップジョブを優先度を考慮してスケジューリング

 新版では、バックアップジョブのスケジュール機能を強化し、ジョブの実行順序を優先度に応じて変える機能を追加した。データやアプリケーションの優先度やビジネス上の重要性などのポリシーを事前に設定しておくことで、ポリシーに応じて個々のバックアップジョブの優先順位を使い分ける。

 なお、今回の優先度スケジューリングは、同社が提唱するバックアップ自動化のコンセプト「Adaptive Backup & Recovery」(ABR)の第1段階に相当する。ABRでは、「優先度」「予測」「推奨」「自動化」の四つの機能の実現を掲げている。これらを実現することによって、データセンターのデータバックアップの効率化/自動化を図る考え。

 新版ではまた、バックアップNAS装置「HP StoreOnce Backup System」が備える重複排除機能との連携を強化した(関連記事:日本HP、ストレージ重複排除をソース側にオフロード)。具体的には、重複排除バックアップに利用するネットワーク帯域を制限する帯域制御機能や、バックアップサイズのしきい値を設定するクオータ制御機能を追加した。さらに、バックアップNASのハードウエアを使ってデータを暗号化して格納できるようにした。