NECは2013年11月15日、ベクトル型スーパーコンピュータの新機種「SX-ACE」(写真)を発表、同日販売を開始した。メモリーコントローラーやI/Oコントローラーを内蔵した新開発のマルチコアCPUを使ってノード構成を簡素化した。ノード間は分散メモリー型で並列処理となる。従来機種「SX-9」(2007年10月販売)と比べて、同一性能当たり10分の1の消費電力および5分の1の設置面積を実現した。価格(5%税込み)は、レンタル月額で450万円から。
ベクトル型スーパーコンピュータの最新機種である。一般に、ベクトル型のスーパーコンピュータは専用に設計されており、汎用のハードウエア部品を流用するスカラー型と比べると高価になる。この一方で、単一のコンピュータとして動作するノード当たりの性能はスカラー型よりも高く、並列処理でなくても計算能力を確保しやすい。また、処理性能当たりのメモリー転送速度が高く、大容量データを一括処理する用途に向く。
SX-ACEは、従来機種のSX-9(関連記事:NECが3年ぶりにベクトル型スーパーコン新機種「SX-9」を販売)と比べて、ハードウエアアーキテクチャーを簡素化し、1個のマルチコアCPU(4コア、メモリーコントローラーなどを内蔵)を1ノードとした。1ノードは、4コアCPU×1個とメインメモリー64Gバイトを搭載したCPU/メモリーボードである。ノード同士はメインメモリーを共有せず、アプリケーションを複数ノードで動かす場合は分散メモリー型となる。「MPIを使った並列処理が主流なので分散メモリー型にした」(NEC)。
主な仕様は以下の通り。ベクトル演算性能は、CPU(ノード)当たり256G FLOPS(コア当たり64G FLOPS)。メインメモリーの転送速度は、CPU(ノード)当たり256Gバイト/秒(コアあたり64Gバイト/秒)。このため、処理性能当たりのメモリー転送速度は、1演算当たり1バイト。1ラック当たり、最大で64ノード(64枚のCPU/メモリーボード)を搭載する(最大構成は8ラック分で512ノード)。ノード間の接続方式は2段のFat-Treeで、ノード間の最大通信速度は、ノードあたり8Gバイト/秒×2(双方向)。
機種名 | SX-ACE | SX-9 |
---|---|---|
CPU当たりのコア数 | 4 | 1 |
ノード当たりのCPU数 | 1 | 16 |
CPU当たりの処理性能 | 256G FLOPS | 102.4G FLOPS |
CPU当たりのメモリー転送速度 | 256Gバイト/秒 | |
CPU当たりのメモリー容量 | 64Gバイト | |
ノード当たりの処理性能 | 256G FLOPS | 1.6T FLOPS |
ノード当たりのメモリー転送速度 | 256Gバイト/秒 | 4Tバイト/秒 |
ノード当たりのメモリー容量 | 64Gバイト | 1Tバイト |
シングルノードのメモリーアーキテクチャー | 共有メモリー | |
マルチノードのメモリーアーキテクチャー | 分散メモリー | 共有・分散メモリー |
ノード当たりのノード間通信速度 | 8Gバイト/秒×2 | 128Gバイト/秒×2 |