SX-9とNEC執行役員常務の丸山好一氏
SX-9とNEC執行役員常務の丸山好一氏
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 NECは,ノードあたりの浮動小数点演算性能を従来機「SX-8R」(2006年10月販売)の約6倍弱となる1.6テラFLOPSとしたベクトル型スーパー・コンピュータ「SXシリーズ モデルSX-9」を,10月25日に販売開始した。2004年10月販売の「SX-8」から3年ぶりのメジャーバージョンアップとなる。価格は,月額で298万円から。今後3年間で700システムの販売を見込む。

 SX-9は,NECが開発したベクトル型スーパー・コンピュータの最新機種。プロセサは102.4G FLOPSで,SX-8Rの35.2G FLOPS比で約4倍,SX-8の16G FLOPS比で約6.4倍に相当する。1ノードあたり従来機の2倍となる最大16個のプロセサを搭載する(ノードあたり1.6テラFLOPS)。これを最大512ノードまで接続できる(839テラFLOPS)。メモリバンド幅はプロセサあたり256Gバイト/秒で従来の64Gバイト/秒の4倍。ノード間インターコネクトはノードあたり128Gバイト/秒×2で,従来の16Gバイト/秒×2の8倍となる。

 ベクトル型は,汎用のコモディティ部品を用いるスカラー型よりも性能当たりの価格が高額となるため,現在では主流ではない。しかし,メモリーバンド幅が大きく大容量データを一括処理しやすいといった特徴がある。そもそも並列処理が難しいケースや,既存のアプリケーションを並列処理アプリケーションに作り変える手間をかけたくない場合などに適する。NECは「SX-9はキロボルトアンペア当たり20G FLOPS弱と,消費電力当たりの性能も優秀」としている。