NECは2013年9月20日、同社が10月1日から開始するSDNの構築SIサービス「NEC Enterprise SDN Solutions」について、想定する五つの適用例(サービスメニュー)ごとに、SDNの構築費用と、同社が試算したコスト削減効果を明らかにした。例えば、社内LANを既存のスイッチからOpenFlowスイッチに切り替えると、10フロアー1000クライアントを想定した規模の場合、構築費用が3350万円からで、5年間のTCOは約1億3000万円から約9500万円へと約26%削減できる。
同社は7月10日に、SDNによるネットワーク構築サービスをSIサービスとしてメニュー化したことを発表している(関連記事:NECがSDN構築をSIメニュー化、2015年に800人のSEで1500億円を見込む)。このSIサービスでは、同社が構築を手がけたユーザー事例などをベースに、企業向けに五つの適用例をメニュー化している。SIサービスの提供に当たり、SI事業部門全体でSDNのノウハウと人材を共有する体制を整えている。
今回、SIサービスの受注開始を10月1日に控え、サービスメニューごとに、典型的なシステム構成例における構築費用とコスト削減効果を開示した形である。コスト削減効果については「真面目にきっちりと試算した」(同社、SDN戦略本部)という。サービスメニュー全体に共通して言えるのは、SDNの導入によってネットワークの設定変更の人件費を大幅に削減できる、ということである。
サービスメニューは、(1)拠点・データセンター接続最適化、(2)オフィスLAN最適化、(3)アクセス認証、(4)IaaS運用自動化、(5)データセンターネットワーク統合、の五つである。これらの狙い(SDNが有効である理由)と、今回開示した費用/効果は、以下の通り。
SIサービスメニュー | 拠点・データセンター接続最適化 | オフィスLAN最適化 | アクセス認証 | IaaS運用自動化 | データセンターネットワーク統合 |
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狙い | 拠点間をつなぐWAN回線のリソース(回線本数や帯域)を有効利用 | 人事異動やレイアウト変更に伴うVLAN設定の変更コストを削減 | アクセス制御をオーバーレイネットワークと人事情報(LDAP)で実現 | 仮想サーバーとネットワーク構成を動的に配備して業務システムのインフラ整備を効率化 | データセンターの統合過程で発生するネットワーク構成変更/検証の手間を削減 |
導入効果(NEC試算) | 5年間のTCOを約30%削減(3拠点を想定) | 5年間のTCOを約26%削減(10フロアー1000クライアントを想定) | 5年間の運用費を約60%削減(20拠点3000ポートを想定) | 5年間のTCOを約25%削減(System Center/Hyper-V環境で物理サーバー3台を想定) | 設置スペースを約70%削減、ネットワーク設定変更の外注費を100%削減(実事例ベース) |
構築費用(SI含む) | 2000万円から(3拠点を想定) | 3350万円から(10フロアー1000クライアントを想定) | 800万円から(2拠点300ポートを想定) | 2000万円から(System Center/Hyper-V環境で物理サーバー3台を想定) | 2300万円から(1Gビット/秒×88ポートを想定) |