米Appleが、公共交通機関利用者向けのナビゲーションサービスを手がける米国の新興企業、Embarkを買収したと複数の米メディアが現地時間2013年8月22日に報じた。米Wall Street Journalによると、Appleの広報担当者は事業の目的や計画についての説明は避けたものの、買収の事実は認めたという。

 Embarkは米シリコンバレーで2011年に設立された企業。サンフランシスコや、ニューヨーク、ボストン、シカゴといった米国の各都市ごとの路線図アプリケーションを手がけている。このニュースを最初に伝えたテクノロジーリポーターのJessica Lessin氏によると、同社のアプリケーションにはiOS版とAndroid版があるが、Android版についてはすでに入手できなくなっている。

 iOSの音声アシスタント機能「Siri」で経路探索を行うと、Appleの地図アプリケーション「Maps」を使って道順を案内するが、公共交通機関を使う経路を探索した場合は、インストール済みの他社地図アプリケーションを立ち上げるよう案内したり、App Storeで入手できる他社製アプリケーションをダウンロードするよう促したりする。今後Appleは、Embarkの技術を使って自社地図アプリケーション内に公共交通機関の経路探索機能を組み込むのではないかとメディアは報じている。

 なおAppleが地図サービスの取り組みを始めたのは2009年のこと。米Apple Insiderによると、Appleはこの年に、地図関連の新興企業である米Placebaseを、その翌年には同様の米Poly9を、 2011年には米C3 Technologiesを買収した。2013年に入ってからは、屋内位置情報システムを手がける米WifiSLAMを、先ごろは、経路探索サービスを手がける米Hopstop.comと、地域企業情報サービスのカナダLocationaryを買収した(関連記事1関連記事2)。