写真1●Steelhead CX 255の外観
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写真2●リバーベッドテクノロジーでシニアテクニカルコンサルタントを務める寺前滋人氏
写真2●リバーベッドテクノロジーでシニアテクニカルコンサルタントを務める寺前滋人氏
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 リバーベッドテクノロジーは2013年8月19日、WAN高速化装置の新OS「RiOS 8.5」とともに、小規模拠点に向いたエントリーモデルの後継新機種「Steelhead CX 255」(写真1)を発表した。新OSでは通信内容に応じて回線を使い分ける機能を自前で用意した。新機種は従来モデルと同一価格帯に抑えつつ性能を約2倍以上に高めた。いずれも2013年9月ごろに出荷を始める。

 前提となるWAN高速化装置のSteelheadとは、遅延時間が大きな遠隔拠点間のアプリケーション通信を高速化するネットワーク機器である(関連記事)。拠点間でネットワーク対向型で設置することで、ファイルやデータの転送時間を削減したり、アプリケーションの体感レスポンスを高めたりできる。アクセス透過型で動作し、主にエッジルーターの背後にインラインで配置する。

 発表会では、WAN高速化の需要が高まっていることを、リバーベッドテクノロジーの寺前滋人氏(写真2)が指摘。これまでWAN回線にデータを流さないように遠隔拠点ごとに分散させていたサーバー資源の多くが、今ではクラウド(遠隔地にあるデータセンター)に移行しつつあるという。

複数の通信回線を自律的に使い分け

 新OSのRiOS 8.5では、拠点と拠点を結ぶ経路(エッジルーターおよびアクセス回線)を、Steelhead自らポリシーに基いて切り替えられるようにした。これにより、利用しているアプリケーションの種類などに応じて拠点間の回線を変える運用ができるようになった。業務の重要な通信にはIP-VPN(MPLS網)を使い、SNSなどの通信にはインターネットVPNを使う、といったことができる。

 Steelheadのハードウエアには、複数の経路を収容するネットワークポートが備わっている(経路AのLAN/WANポート、経路BのLAN/WANポートなど)。ただし、以前はSteelhead自らが経路を切り替えることはできなかった。経路AのLANポートと経路AのWANポートはセットになっており、経路AのLANポートから入ってきたトラフィックをポリシーに応じて経路BのWANポートから送出するという使い方ができなかった。今回、OSを強化してこれを可能にした。

 新OSではまた、アプリケーション固有の高速化機能を追加した。例えば、Windowsファイル共有プロトコルの新版であるSMB v3向けの強化である。SMB v3は標準で暗号化/圧縮がかかる。このままでは高速化できないので、いったんこれを元に戻してから高速化する。このほかにも、SharePointのファイル操作向けの機能として、HTTP GET/POSTメッセージやWevDAVに特化した高速化機能を追加した。

小規模拠点向けのエントリー機種に後継機、性能を約2倍に

 新機種のSteelhead CX 255は、既存機種「Steelhead 150」および「Steelhead 250」の後継機種である。既存機種と同一価格帯に抑えつつ、WAN帯域などの性能を約2倍に高めている。既存機種は1Uのスペースに1台までしか収容できなかったが、きょう体を小型化し、1Uラックマウントのスペースに2台のSteelhead CX 255を収容できるようにした。

 Steelhead CX 255は全4モデルで構成し、エントリーモデルの「U」がSteelhead 150の後継に、残りのモデル「L」「M」「H」が、それぞれSteelhead 250の「L」「M」「H」の後継に当たる。

 Steelhead CX 255の性能は、最安価モデルのUで、WAN帯域が2Mビット/秒、TCPコネクション数が50個。モデルL/M/HのWAN帯域は6Mビット/秒で、TCPコネクション数はモデルLが75個、モデルMが150個、モデルHが230個。これに対して、既存モデル(Steelhead 150とSteelhead 250の合計4モデル)の場合、モデルに応じてWAN帯域が1M~2Mビット/秒、TCPコネクション数が20個~200個である。

 Steelhead CX 255の価格は、32万円程度から。