米Appleが出版大手5社と共謀して電子書籍の価格を操作したとする問題で、米司法省(DOJ)は現地時間2013年8月2日、Appleと5社の契約打ち切りなどを求める是正案を裁判所に提出した。

 Appleは米ニューヨーク州連邦地方裁判所で7月10日に、電子書籍の価格を不当につり上げ、米シャーマン法(独占禁止法を構成する法令)に違反したとする判決を受けている。同裁判所は、Appleが米News Corporation傘下のHarperCollins Publishers、ドイツVerlagsgruppe Georg von Holtzbrinck傘下のMacmillan、英Pearson傘下のPenguin Group、フランスLagardere傘下のHachette Book Group、米CBS傘下のSimon & Schusterとともに電子書籍の不正な価格調整を行ったとするDOJの主張を支持した(関連記事:Apple、電子書籍の価格操作問題で独占禁止法違反の判決)。

 これを受けてDOJが今回提出した是正案には、Appleが現在締結している5社との契約を打ち切ること、今後5年間これら5社と競争的価格を妨げるような電子書籍関連の新たな契約を結ばないことなどを求めている。また、価格上昇をまねく恐れのある提携を電子書籍、音楽、映画、テレビ番組などのコンテンツサプライヤーと結ぶことも禁じている。

 さらに、今後2年間、電子書籍販売の競合である米Amazon.comや米Barnes & Nobleなどが電子書籍アプリケーションから自社の電子書籍販売ストアへ移動できるリンクを付けることを許可し、ユーザーがiOS端末で手軽にApple以外から電子書籍を購入できるようにすることも盛り込んでいる。

 そのほかDOJは、Appleの内部コンプライアンスを監督する社外監視担当者を裁判所が任命することも提案した。裁判所は是正措置に関する審問を8月9日に開催する予定。

 AppleはDOJの是正案提出について、「当社事業への非常に厳格で懲罰的な介入だ」と反発。「誤った行為と判断されたいずれに対してもきわめて不釣り合いで、悪影響をもたらす可能性がある」と反論の声明を発表している(米Wall Street Journalの報道)。

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