米Appleが出版大手5社と共謀して電子書籍の価格をつり上げた疑いがあるとして米司法省(DOJ)が同社を訴えていた裁判で、米ニューヨーク州南部の連邦裁判所は現地時間2013年7月10日、Appleが米シャーマン法(独占禁止法を構成する法令)に違反したとする判断を下した。

 DOJの反トラスト局を担当するBill Baer司法次官補は、「今回の判決は、電子形式での読書を選択する多数の消費者にとっての勝利だ」との声明を同日発表している。なお出版5社はすでにDOJと和解しており、Appleのみが法廷での争いに残っていた。

 DOJは2012年4月にAppleと米News Corporation傘下のHarperCollins Publishers、ドイツVerlagsgruppe Georg von Holtzbrinck傘下のMacmillan、英Pearson傘下のPenguin Group、フランスLagardere傘下のHachette Book Group、米CBS傘下のSimon & Schusterを、電子書籍の不正な価格調整を行ったとして提訴した。DOJの主張では、Apple主導のもと、書籍の販売価格を書店が設定できる従来の「卸売りモデル」から、出版社が価格を決定し売上高の30%をAppleに支払う「販売代理店モデル」に契約形態を移行。これにより米Amazon.comで大半が9.99ドルだった新刊やベストセラー書籍の電子版が12.99ドル~14.99ドルで販売されるようになった(関連記事:米司法省、電子書籍の価格カルテルでAppleと出版大手を提訴)。DOJによれば、Appleと協定を結んだ出版社の電子書籍の価格は平均18%上昇した。

 米メディアの報道(New York Times)によると、Apple広報担当のTom Neumayr氏は「当社は電子ブックの価格調整で共謀したことはなく、誤った訴訟に対して引き続き闘うつもりだ。当社が2010年に『iBookstore』を導入した際、必要とされていたイノベーションを起こし、市場に競争をもたらし、出版業界におけるAmazon.comの独占的影響力を打破するべく、消費者により幅広い選択肢を与えた」と述べ、上訴する意向を示した。

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