写真●日本オラクル、Fusion Middleware事業統括本部ビジネス推進本部製品戦略部シニアディレクターの清水照久氏
写真●日本オラクル、Fusion Middleware事業統括本部ビジネス推進本部製品戦略部シニアディレクターの清水照久氏
[画像のクリックで拡大表示]

 日本オラクルは2013年7月31日、Javaアプリケーションサーバーの新版「Oracle WebLogic Server 12.1.2」と、データベースキャッシュソフトの新版「Oracle Coherence 12.1.2」を発表し、同日出荷した(写真)。新版では、最新版のRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)ソフト「Oracle Database 12c」との親和性を高めてリソース使用効率を向上させるなど、いくつかの機能を追加した。

 WebLogic Serverは、業務アプリケーションやシステム連携ミドルウエアなどJava言語で書かれた各種のWebアプリケーションを動作させる基盤プラットフォームとなるJavaアプリケーションサーバーソフトである(関連記事:日本オラクル、Java EE 6準拠のWebLogic Server 12cを発表)。

 今回の新版では、Oracle Database 12cとの親和性を高めた。例えば、Oracle Database 12cでは、1つのDBインスタンスの上で仮想的なDBを複数立ち上げるマルチテナント型のアーキテクチャーを採ることができる。WebLogic Serverは、個々の仮想的なDBを仮想的なDBであると認識することによって、これら複数の仮想的なDBに対して同時にDBアクセスできるという。

 さらに、Oracle Database 12cとの組み合わせにおいて、コネクションプーリングの消費リソースを軽減する機能であるDatabase Resident Connection Poolingを利用できるようにした。同機能は、コネクションの本数はそのままに、アイドル時のコネクションにかかる処理リソースを軽減するもの。実際に使っているコネクションに対して処理リソースを集約する。

 WebLogic Serverではまた、クライアントへのプッシュ配信機能を強化した。具体的には、双方向通信技術であるWebSocketを実装した。これにより、WebLogic ServerからWebクライアントに対してデータをプッシュ通知できるようになった。RDBMSからWebLogic ServerにデータをプッシュするTopLinkデータサービス機能と組み合わせることで、RDBMSのデータ更新に合わせてWebクライアント側のデータを更新できるようになる。

 WebLogic Serverの価格(税別、以下同)は、基本構成となるStandard Editionの場合で、1プロセッサ当たり108万7000円、または指名ユーザー当たり2万1700円。

分散メモリー型キャッシュ製品は更新データのリアルタイム処理を可能に

 もう一つのOracle Coherenceは、データベースアクセスを高速化するキャッシュソフト。データベースアクセスの結果(オブジェクト)を、Javaアプリケーションサーバーのメインメモリー上に、KVS(キーバリューストア)型で格納する。オブジェクト操作用の専用APIのほかに、キャッシュ元となるRDBMSと同じSQLに似たクエリー言語でアクセスできる。

 今回の新版では、単なるオブジェクトのキャッシュだけでなく、Oracle Coherence上での簡単なデータ処理(集計結果に応じたアクションの実行)を可能にした。具体的には、CEP(複合イベント処理)のように、ストリームで入力されてくるデータに対して前処理(チェックやフィルタリング)をかけ、前処理の結果からイベントを抽出し、イベントに応じてアクションを起こせるようにした。

 新版ではまた、異機種データベース間のデータ統合/レプリケーションソフト「Oracle GoldenGate」と連携できるようにした(この機能を同社ではHotCacheと呼ぶ)。HotCacheにより、業務システムがOracle Coherenceを経由することなくキャッシュ元のRDBMSを直接更新した場合であっても、Oracle GoldenGateを使って更新内容をOracle Coherenceに反映できるようになった。

 HotCacheとイベント処理を組み合わせることで、定常的に更新されるRDBMSの情報をリアルタイムに集計してアクションを起こすことができるようになる。

 Oracle Coherenceの価格は、1プロセッサ当たり50万円から、または指名ユーザー当たり1万900円から。