写真●米Oracleで製品管理担当シニアディレクターを務めるMichael Lehmann(マイケル・リーマン)氏
写真●米Oracleで製品管理担当シニアディレクターを務めるMichael Lehmann(マイケル・リーマン)氏
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 日本オラクルは2012年1月25日、Javaアプリケーションサーバーソフトの新版「Oracle WebLogic Server 12c」を発表した。2月7日に出荷する。新版では、現行のJava規格であるJava EE 6およびJava SE 7に準拠して開発生産性を高めたほか、Oracle Databaseとの連携を強化して可用性と性能を高めた。

 WebLogic Serverは、Javaアプリケーションサーバーソフトである。業務アプリケーションやシステム連携ミドルウエアなどJava言語で書かれた各種のWebアプリケーションを動作させる基盤プラットフォームとなる。企業向けシステムを構築するためのJava規格であるJava EEに準拠する。

 新版では、「200を超える新機能を搭載」(米Oracleのマイケル・リーマン氏、写真)した。強化ポイントは、大きく二つある。(1)一つは、現行のJava規格であるJava EE 6およびJava SE 7に準拠させて、開発生産性を高めたこと。(2)もう一つは、Oracle Databaseのクラスタリング機能との連携を強化して、Webシステム全体の可用性と性能を高められるようにしたこと---である。

開発生産性を向上、コード行数を半減

 Java EE 6(EJB 3.1)に準拠したことで、これまで別途OSSのフレームワーク(DIコンテナなど)で補ってきた機能を標準で利用できるようになった。これにより、開発生産性が向上した。「Java EE6では、別ソフトで埋めなければならない不足機能がほぼゼロになった」(日本オラクルでFusion Middleware事業統括本部ビジネス推進本部シニアディレクターを務める清水照久氏)。

 米Oracleの実例では、Java開発者向け会議「JavaOne」向けに開発したアプリケーション(POJO/JPA/RESTベース)において、従来のJava EE規格だけを使って一から開発した場合と比べて、クラス数で25%、コード行数で50%、XML行数で80%削減できた、としている。

 なお、Java SE 7への準拠/取り組みでは、WebLogic Serverが以前から搭載してきた高機能JavaVMであるJRockitの機能のいくつかが、Java規格へと取り込まれた。今後も、JavaVMの標準機能を拡張する。これにより同社は、現状でJRockitを使っているユーザーが、数年後に標準JavaVMに移行する、というシナリオを描く。

 Oracle Databaseのクラスタリング機能であるReal Application Clusters(RAC)との連携を強化した。同機能の名称はActive GridLink for RACで、RACの稼働状況をRACからメッセージとして受け取れるようにした。これにより、RACを構成する個々の処理ノードの負荷情報に応じてデータベース接続を動的に割り振ることができるほか、データベース障害やデータベースの構成変更の際にデータベース接続を自動的に追随させられる。

 価格(税込)は、以下の通り。(a)標準版の「Standard Edition」は、1プロセッサ当たり108万7000円、または指名ユーザー当たり2万1700円。(b)クラスタリング機能を強化した「Enterprise Edition」は、1プロセッサ当たり271万7400円、または指名ユーザー当たり5万4300円。(c)分散メモリー型データキャッシュ「Oracle Coherence」や高速版JavaVM「JRockit Real Time」などを同こんした「Suite」は、1プロセッサ当たり489万1300円、または指名ユーザー当たり9万7800円。