楽天は2013年7月18日、楽天市場におけるスマートデバイスの取り組みについて、記者向けの説明会を開催した。楽天社内で「モバイルの河野」の異名を取る河野奈保執行役員(写真)によれば、アクセスベースでは2013年末にスマートデバイスからが全体の50%を超え、2014年には流通額ベースでも50%を超える見通しになっているという。2013年末時点の予測は、スマートデバイス経由の流通額が全体の42%とした。
スマートフォンとタブレット端末の急速な普及に合わせて、スマートデバイスからの購入が急上昇中。約2年半で楽天市場の流通額はスマホ経由が23倍、タブレット経由が9.4倍と大きな伸びになっている。
特にスマホからの購入ペースが拡大しており、携帯電話(ガラケー)経由で10年かかった流通額をスマホは3年で追い越した。また、楽天市場でのスマホ利用者は約7割が女性、タブレットも5割強が女性と、女性が大勢を占めている。そのため、ファッションやインテリア、時計など、女性が好む商品がスマホでは特によく売れている。
スマートデバイス利用者の特徴は、パソコンなど複数デバイスを使いこなして、楽天市場で買い物を楽しむ人が多いこと。しかもデバイスを「クロスユース(併用)」する人ほど、楽天市場の優良会員になりやすい傾向にある。
実際、パソコンだけの利用者よりも、パソコンにスマホ、さらにはスマホやタブレットのアプリまで利用する人は、パソコンだけの人よりも楽天市場での年間客単価が約2万円高い。クロスユースの人は楽天市場への接触回数が多くなるので、結果的に「年間の購買も大きくなる」(河野執行役員)。アプリについては今後も強化していく方針で、2013年12月にはスマホなどのカメラで撮影した商品を画像で検索できる機能も実装していく計画だ。
2012年3月から段階的に、出店者が利用できるスマホ店舗向けの編集機能を強化してきたことも、スマホの購買を後押ししている。なかでも「ロングページ」と呼ばれる、非常に長い画面での商品説明ページの作成が可能になり、「スマホでも店舗さんが商品のストーリーや思いを語れるようになった」(河野執行役員)。パソコンではこのロングページが店舗の強みになっていることが多い。
スマホに動画コンテンツを流す店舗も増えてきており、動画を足すとサイト訪問者の購買転換率が約3割伸びるという結果も出ているという(関連記事:楽天と名の付くサービスを2つ以上使う会員の割合は53%)。