富士通グループは2013年7月5日、福島県会津若松市にて、農業経営効率化のためのクラウドサービス「Akisai」を活用した低カリウム植物工場の実証事業を開始すると発表した。

 Akisaiは、2012年7月に富士通が発表したクラウドサービス(関連記事)。同サービスで栽培データを継続的に解析して生産性を向上し、経営全般を管理することで効率的な植物工場経営を支援する。

 今回の実証事業で利用する植物工場は、半導体工場のクリーンルームを転用したもので、実装面積は2000平方メートル。実証事業の期間は2013年7月から2014年3月末までで、低カリウム野菜を1日に3500株生産する。

 低カリウム野菜に注目したのは、カリウムの摂取制限を受けている人工透析患者や慢性腎臓病患者などが、生で食べられるカリウム含有率の低い野菜の栽培に期待を寄せているため。実証事業では、富士通ホーム&オフィスサービスが中心となって会津富士加工や秋田県立大学が持つ低カリウム野菜の栽培技術を活用し、カリウム含有率の低いリーフレタスを2013年10月から試作、2014年1月から量産出荷する。

 富士通セミコンダクターは、半導体製造工場のクリーンルームで培った最適製造条件の割り出しや雑菌管理のノウハウを活用。空気や液体肥料に含まれる成分などを管理し、低カリウム野菜の栽培に最適な育成環境を整える。

 また、富士通ファシリティーズ・エンジニアリングは、半導体製造工場へのインフラ供給や省エネルギー管理のノウハウで、低カリウム野菜の栽培に最適なインフラ環境を整備、供給し、省エネルギー化を実現する。臨床試験は福島県立医科大学が実施する。

 今回の実証事業について富士通では、「人工透析患者や慢性腎臓病患者が生で食べられるカリウム含有率の低いリーフレタスを栽培し、1人でも多くの人が食の喜びを享受できる社会の実現を目指すとともに、地域産業の振興に貢献する」としている。