米Sprint Nextelは現地時間2013年6月20日、完全子会社化を目指す米Clearwireに提示している買収額を1株5.00ドルに引き上げ、Clearwireもこれに合意したと発表した。

 すでにClearwireの株式の50.2%を保有するSprintは2012年12月、完全子会社化に向けて残りの株式を1株当たり2.97ドルで買い取ることをClearwireに提案した。しかし今年1月に米DISH Networkが1株3.30ドルの買収額で対抗案を提示。Sprintが5月に1株3.40ドルに引き上げると、その後DISHが1株4.40ドルを提示した。

 1株5.00ドルの金額は、Sprintの前回提示額である3.40ドルより47%高く、DISHの4.40ドルを14%上回る。また、ソフトバンクがSprintを買収することで交渉中との報じられた前日に当たる2012年10月10日のClearwire株式の終値に258%のプレミアムを上乗せした金額だとしている。

 Sprintは新たな提案について、Clearwireの議決権付き株式の合計約9%を保有する複数の株主から支持する意向を取り付けたという。同社はこれまで米Comcastや米Intelなど合計約13%の議決権付き株式を保有する株主から承認の意向を得ている。

 なおSprintは6月17日に、Clearwireに対するDISHの買収案が米デラウエア州法に違反するととして、DISHとClearwireを同州の衡平法裁判所に提訴した。DISHは、Sprintに対してもソフトバンクに対抗する買収案を提示していたが、これを取り下げる方針を明らかにしている(関連記事:SprintがClearwireへのTOBを巡りDISHを提訴、DISHはSprint買収を断念)。

 米メディアの報道(Wall Street Journal)によると、Clearwireの株主投票は7月8日に行われる見込み。一方Sprint株主によるソフトバンク買収案に関する投票は6月25日を予定している。Sprintの買収額引き上げの報道を受け、Clearwireの株価は7.3%高の5.04ドル、Sprintの株価は1%高の7.07で取引を終えた。Dishの株価は39.18ドルにわずかに下がった。

[発表資料へ]