米Sprint Nextelは現地時間2013年6月17日、同社子会社の米Clearwireに対する米DISH Networkの株式公開買い付け(TOB)を阻止することを目指し、DISHおよびClearwireを米デラウエア州の衡平法裁判所に提訴したと発表した。Sprintは、DISHとClearwireの取引がClearwireの株主の権利を侵害し、デラウエア州法に違反すると主張している。

 Sprintは、DISHの買収提案において特に、DISHがClearwire取締役を複数指名できるという要件がClearwireの株式保持者契約のもとでは認められず、DISHがClearwireの特定の行為について拒否権を持つという要件はデラウエア州法に反すると指摘した。

 またDISHが、Clearwireの周波数帯を取得し、SprintのClearwire買収を妨害するために、自社の提案がすぐに実現可能であるかのようにClearwireの株主を繰り返し欺こうとしたと批判している。

 Clearwireの株式の50.2%を保有するSprintは、Clearwireの完全子会社化に向けて、2012年12月に残りの株式を1株当たり2.97ドルで買い取ることを提案した。しかし今年1月にDISHが1株3.30ドルの買収額で対抗案を提示。Sprintが5月に1株3.40ドルに引き上げると、その後DISHがそれを上回る1株4.40ドルを提示した(米Forbesの報道)。

 Sprintは6月3日に、DISHの提案は違法だとする見解を示す書簡をClearwire取締役会に送った(関連記事:Sprint、Clearwireに対するDISHの対抗買収案を「違法」と批判)が、Clearwire取締役会は6月12日、株主に対してDISHのTOBに応じるよう勧告している(Clearwireのプレスリリース)。

 DISHは提訴の報道を受け、「SprintがClearwireの株主に公正に対応できないことから注意をそらすための見え透いた行為」と非難する声明を6月18日に発表。同社はSprintに対しても買収を提案していたが、これを取り下げることを同日明らかにした。

 Sprintを巡っては、ソフトバンクが201億ドルで買収することで2012年10月に合意。しかし2013年4月にDISHが買収額255億ドルの対抗案を出し、ソフトバンクは6月11日に買収額を216億ドルに引き上げていた(関連記事:ソフトバンクがスプリント買収の条件を見直し、買収額を約15億ドル上乗せ)。

[発表資料(1)]
[発表資料(2)]
[発表資料(3)]