ソフトバンクは2013年6月11日、米スプリント・ネクステルとの協議に基づき、買収の条件を一部見直したと発表した。従来は約201億ドルとしていた買収総額を、約15億ドル積み増して約216億ドルとした。米衛星放送のディッシュ・ネットワークが2013年4月15日に対抗の買収提案をスプリントに提出(関連記事)したことへの措置。「従来の買収提案でもディッシュ提案を上回っていたが、株主の価値を高めて不透明感をなくすとともに買収時期の無駄な遅れを防ぐのが目的」としている。

 ソフトバンクが今回提示した約216億ドルの買収総額のうち、約166億ドルはスプリント株主に支払い、残りの50億ドルをスプリントの財務強化に充てる。従来は約121億ドルをスプリント株主に支払い、80億ドルを財務強化に充てるとしていた。今回の条件見直しの結果、スプリント1株当たりの対価は従来の7.30ドルから7.65ドルに高まり、新生スプリントが保有するスプリント株式も従来の約70%から約78%となる。

 買収総額の引き上げに伴い、スプリントが他社提案の採用で合併が実現しなかった場合の違約金を従来の6億ドルから8億ドルに見直したほか、スプリントの株主総会で承認されなかった場合のソフトバンクに対する費用補てんの上限も従来の7500万ドルから2億ドルに変更した。スプリントに対して買収防衛策の導入も義務付けた。

 スプリントは6月12日に臨時株主総会を開くが、ソフトバンク案の投票は6月25日に延期となる。スプリント取締役会、ならびにディッシュの買収提案を審査する同社特別委員会は米国時間の2013年6月10日、ディッシュの買収提案がより優れた提案につながる合理的な見込みがないと決定した旨を公表。ソフトバンクによる今回の条件見直しを全会一致で承認するとともに、スプリント株主に対して臨時株主総会で賛成票を投じるよう推奨している。両社は、2013年7月上旬の買収完了を見込む。