米Dellは現地時間2013年4月5日、同社取締役会の特別委員会が著名投資家のCarl Icahn氏に送った書簡を公開した。Icahn氏が委任状争奪戦などに関連する権利を放棄すれば、買収提案に伴う費用の償還要求に応じるとしている。

 Dellは2013年2月5日に、同社創業者で最高経営責任者(CEO)のMichael Dell氏とプライベートエクイティ会社の米Silver Lake Partnersを中心とする企業連合が、同社をレバレッジドバイアウト(LBO)方式で買収し、非公開化することで最終合意したことを発表した。買収総額は約244億ドルで、Dellの株主は普通株1株につき現金13.65ドルを受け取る。

 Dell取締役会の特別委員会は、より有利な条件の買い手の有無を確認する猶予期間(go-shop期間)を設定し、投資会社の米Blackstone Groupを中心とするグループとIcahn氏が率いるグループから、期限である3月22日に買収案を受けた。特別委員会は、両提案者と交渉を続けることを決定し、3月25日にこれを正式発表した(関連記事:Dell、創業者による非公開化計画への2対抗案を受領したと正式発表)。Blackstoneは米Francisco Partnersや米Insight Ventureと協力し、Dellの全株式を1株14.25ドル以上で買い取ることを提案している。一方Icahn氏は、Dell株式の58.1%を1株15ドルで購入する意思を示している。

 特別委員会によると、Icahn氏は取締役会に対し、売却先を選考するプロセスを同氏の望む方法で進めない場合、訴訟や委任状争奪戦を起こす可能性を示唆している。特別委員会は長年にわたる係争や委任状争奪戦に直面することを懸念し、「われわれのプロセスに参加して正式に入札するのであれば、他の2提案者に対するのと同じ費用償還を行う用意がある。しかし委任状争奪戦や訴訟など、Dellに長期にわたる不安定性や不確実性をもたらす行動によって同プロセスを妨害するような権利を維持するなら、求めに応じない」と回答した。

 米メディアの報道(Wall Street Journal)によると、Icahn氏が支払いを求めているのは、買収に伴うデューデリジェンス(出資対象として適正かどうかを確認するための財務や企業活動などに関する調査)の費用。Silver Lake PartnersのグループとBlackstoneのグループは、最大2500万ドルの支払いを受けることで合意しているという。

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