写真●米ガートナー リサーチ バイスプレジデント 兼 ガートナー フェローのマッシーモ・ペッツィーニ氏
写真●米ガートナー リサーチ バイスプレジデント 兼 ガートナー フェローのマッシーモ・ペッツィーニ氏
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 「『クラウド』『モバイル』『ソーシャル』『インフォメーション』。この4つの力の結節、Nexus of Forcesがエンタープライズ・アプリケーション・アーキテクチャに大きな影響を与える。これからの5年間、アプリケーションをどのように開発していくべきか。このNexusに対応し、Nexusに準拠していくことが非常に重要だ。いままでのアプリケーションの開発手法とは全く違ってくる」。

 米ガートナー リサーチ バイスプレジデント 兼 ガートナー フェローのマッシーモ・ペッツィーニ氏は2013年3月1日、「ガートナー エンタープライズ・アプリケーション&アーキテクチャ サミット 2013」(主催:ガートナー ジャパン)の基調講演に登壇。ガートナーがNexus of Forcesと呼ぶ新しい時代の流れ(関連記事)が、エンタープライズ・アプリケーション・アーキテクチャにどのようなインパクトを与え、そして企業のIT部門がどのように取り組むべきかについて詳細に解説した(写真)。

 ペッツィーニ氏はまず、Nexus of Forcesがアプリケーションアーキテクチャにどのような影響を与えるかについて一通り説明した後に、“Nexus時代”におけるビジネス上の緊急課題を挙げた。(1)グローバルなアクセス、(2)リアルタイム、(3)コントロールの連邦化、(4)拡張性、(5)仮想企業---である。

 中でも興味深かったのが、(3)のコントロールの連邦化と(5)の仮想企業についてだ。

 コントロールの連邦化は、企業内の開発体制のこと。CIO(最高情報責任者)は1人、開発チームは一つといった従来の一元化された指揮系統のモデルではなく、責任が分散化された複数の組織で“連邦化”された開発体制が必要だとペッツィーニ氏は言う。「今は本当に環境が大きく激しく速く変化する。一元化されたコマンド&コントロールというやり方では、この新しい環境では効果を発揮できない」。

 もう一つの仮想企業とは、自社だけでなく、サプライヤー、アウトソーサー、サービスプロバイダーといったビジネスパートナーと一緒にインテグレーションを行う必要があるというもの。「従来型のBtoBではない。かつてはEDI(電子データ交換)を介して発注書を送ったりしていたが、そうではなく、システム上のもっと密なつながりのことだ。例えばリアルタイムで情報を共有したりする必要がある」(ペッツィーニ氏)。

クラウド化したアプリケーションを開発せよ

 課題を洗い出した上でペッツィーニ氏は、それを解決する具体的なアプリケーションアーキテクチャについて言及した。そのうちの一つが「クラウド化したアプリケーション」だ。ここでいうクラウド化とは、「セルフサービス」「弾力的なスケーラビリティ」「シェアードインフラ」などを兼ね備えたアプリケーションだと言う。

 セルフサービスとは、IT部門の介在なしにユーザー自らの手でアプリケーションを利用できるようすることを意味する。「ポータルサイトにアクセスして申し込みをすれば、1クリックで手元にあるアプリケーションが使える状態になる」(ペッツィーニ氏)。