写真1●EMCジャパンの山野修社長
写真1●EMCジャパンの山野修社長
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写真2●スケールアウトNASの「Isilon X400」
写真2●スケールアウトNASの「Isilon X400」
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 EMCジャパンは2013年1月31日、2013年の方針説明会を開催し、クラウドやビッグデータ、モバイルなど「第3のプラットフォーム」に関するビジネスを強化する方針を示した。山野修社長(写真1)は、「企業情報システムのスマートフォンやタブレットへの移行に伴い、ストレージの新規需要の30%~50%をVDI(仮想デスクトップインフラストラクチャー)関連が占めるようになった」と語り、モバイルへの移行がストレージ需要を生んでいるとの見方を示した。

 第3のプラットフォームとは、ITのプラットフォームに関して、メインフレームを第1世代、クライアント/サーバー型を第2世代と位置づけると、クラウドやソーシャル、ビッグデータ、モバイルの4つが第3世代になろうとしている見方である(関連記事:「第3のプラットフォーム」が台頭)。EMCのストレージは、クラウドやビッグデータだけでなく、モバイル端末の普及にも連動して売り上げを伸ばしているという。スマホやタブレットといったモバイル端末を導入したユーザー企業が、既存のPC用アプリケーションをモバイル端末で利用するためにVDIの導入を進めており、VDIに大型のストレージ装置が必要となっているためだ。

 また2013年は、ソフトウエアによってデータセンターインフラを自由にコントロールできるようにする「Software-Defined Data Center(SDDC)」の取り組みにも力を入れる。SDDCは、EMCの子会社であるヴイエムウェアが提唱した概念。EMCはデータセンター内にある全てのストレージ装置をソフトによってプール化し、プール内に仮想ストレージ装置を自由に構成できるようにする「Software Defined Storage」という概念に基づいたストレージソフトを、2013年内にリリースする予定だ。

 EMCは同日、スケールアウトNAS(ネットワーク接続型ストレージ)「Isilon」シリーズの新製品「Isilon X400」(写真2)と「Isilon NL400」を発売した。4テラバイトのハードディスクドライブ(HDD)を採用し、最大ストレージ容量を従来の15.5ペタバイトから20ペタバイトにまで拡張した。

 同時にリリースした新OS「OneFS 7.0」によって、フォルダやファイルにアクセスできる権限をロール(従業員の役割)ベースで制御できる機能や、「SEC Rule 17a-4」に準拠した改ざん防止機能、仮想化ソフトの「VMware vSphere」からストレージ装置をコントロールするAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)などを追加した。

 これまでのIsilonシリーズは、ハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)など特定領域向けのNASという印象が強かったが、「セキュリティ機能などの強化によって、Isilonシリーズは一般の業務用途にも利用できる『エンタープライズNAS』になった」(アイシロン事業本部の田所隆幸事業本部長)とする。

 上位モデルのIsilon X400は、1ノード当たり最大144テラバイトのHDDと最大192ギガバイトのメモリーが搭載可能で、参考価格は1445万7200円。下位モデルのIsilon NL400は、1ノード当たり最大144テラバイトのHDDと最大48ギガバイトのメモリーが搭載可能で、参考価格は1136万2200円である。