写真1●冬春モデルの新製品を発表するソフトバンクモバイルの孫正義社長
写真1●冬春モデルの新製品を発表するソフトバンクモバイルの孫正義社長
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 ソフトバンクモバイルの孫正義社長は2012年10月9日、同日開いた冬春モデルの新製品発表会(関連記事)において、通信設備の強化を改めて強調した。「これからは単につながるだけでなく、快適に高速でつながることが重要。最もつながり、最も速い、世界最高水準のネットワークを作る」(孫社長、写真1)とぶち上げた。

 孫社長は発表会の冒頭20分弱を使い、設備強化の取り組みを説明。ネットワーク満足度の指標となる「つながりやすさ」については、プラチナバンド(900MHz帯)の活用でサービス提供エリアが広がり、「圏外(弱電スポット)は都会、郊外ともに80%近くまで改善できた」(孫社長)とした。

 もう一つのネットワーク満足度である「速さ」については、まず「ソフトバンクWi-Fiスポット」のアクセスポイント(AP)数が10月8日時点で32万APに増えた点を紹介した。このうち、2.4GHz帯と5GHz帯の両方に対応したAP数は9月末時点で約8万AP。エントランス回線にも下り最大76Mビット/秒のAXGPを活用し始めており、スループットは従来の約5倍の20Mビット/秒程度を見込めるという。ログイン時間の短縮化も進めている。

写真2●東海道新幹線車内における測定結果を持ち出してKDDIに比べた優位性を強調
写真2●東海道新幹線車内における測定結果を持ち出してKDDIに比べた優位性を強調
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 今回発表した新製品では対応せず、当面はiPhone専用となるFDD-LTE「SoftBank 4G LTE」の基地局についても、来年3月までにソフトバンクの2.1GHz帯で2万局、イー・アクセスの1.7GHz帯で1万局の計3万局に増やすことを改めて強調。東海道新幹線車内における測定結果(写真2)まで持ち出してKDDI(au)に比べた優位性を力説した。

 「競争は本当に素晴らしいこと。互いに切磋琢磨する」――。孫社長は今回の発表会で数回にわたってこう言及した。ソフトバンクはiPhone 5の顧客獲得を巡るKDDIとの激しい攻防の末、イー・アクセス買収に成功。口にこそ出さなかったが、イー・アクセス買収で周波数に余裕ができた喜びを噛み締めているようだった。

 9月のMNP転入超過数ではKDDIに大きく水をあけられたが(関連記事)、「昨年(のiPhone 4S発売直後)も同じような数値で読み通り。著しく問題とは考えていない。むしろ想定より小さな数で収まり、安心している」(孫社長)と余裕をみせた。

 このほか、新製品発表会の主な質疑応答は以下の通り。