電子書籍の価格カルテルを巡る問題で、より早い解決を目指して米Appleと欧米の大手出版社4社が提出した和解案について、欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は現地時間2012年9月19日、第三者の意見募集を行うと発表した。

 ECは、Appleと米CBS傘下のSimon & Schuster、米News Corporation傘下のHarper Collins、フランスLagardere傘下のHachette Livre、英Pearson傘下のPenguin、米Macmillanの親会社であるドイツVerlagsgruppe Georg von Holtzbrinckの5社が電子書籍の価格をめぐって不当な協定を結んでいた疑いがあるとして、2011年12月より正式調査を進めていた(関連記事:欧州委員会、Appleと欧米の出版大手を調査、電子書籍カルテルの疑いで)。

 ECによると、Appleと5社は、書店が自由に販売価格を設定できる従来の「卸売りモデル」から出版社が価格の決定権を握る「販売代理店モデル」に契約形態を移行することで、欧州経済領域における電子書籍販売の競争を妨害し、価格を不当につり上げていたという。ECはこれが欧州の独占禁止法に違反すると主張している。

 和解案はPenguinを除く出版社4社とAppleが提出したもので、現行の販売代理店契約を終了し、Appleより有利な価格での販売を禁じる条件を5年間凍結することなどが盛り込まれている。4社が新たにAppleと販売代理店契約を結ぶ場合は、2年間にわたり書店が電子書籍の価格を自由に設定できるようにする。

 意見募集により和解案が競争の懸念を解消するものであると判断された場合、ECは和解案を承認し、調査を終了する。和解案が認められれば、米Amazon.comなどは、競争的な価格で電子書籍を販売できるようになる。

[発表資料へ]