写真●大日本印刷と富士通フロンテックが開発した新型RFIDタグ
写真●大日本印刷と富士通フロンテックが開発した新型RFIDタグ
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 大日本印刷は富士通フロンテックと共同で2012年8月29日、CDやDVD、ブルーレイディスクなどの光学ディスク向けRFIDタグ内蔵ラベルの新製品を開発したと発表した。国内で利用可能になったUHF(極超短波)920MHz帯に新たに対応し、従来製品に比べて通信距離を1.5倍の3~4メートルに高性能化しつつ、価格を約30%抑えた。

 販売価格は1枚28円(100万枚ロットの場合)。9月末の出荷開始を予定しており、今後3年間で10億円の売り上げを目指す。

 新製品はドーナツ状のラベルで、光学ディスクの円盤中央に貼り付けて使う(写真)。ドーナツ中央(写真ではケースのツメの付近)に円状のアンテナがあり、その近くにICチップが埋め込まれている。チップはラベル自体の厚さ(0.2ミリメートル)以内に収まるサイズで、チップの存在は肉眼では見えない。

 UHF帯のRFIDタグは流通業の商品管理などの用途に適した特性を持つ(関連記事)。大日本印刷の新製品は、従来の950MHz帯の周波数に加えて、新たに920MHz帯に対応した。総務省は国際的な電波利用の流れに合わせるため、UHF帯RFIDタグの利用周波数を従来の950MHz帯から920MHz帯へと移行するよう促している。大日本印刷の新製品はこの国策に対応したものだ。

 7月22日に携帯電話サービスで920MHz帯を利用していたKDDIと沖縄セルラー電話が停波したことから、国内で920MHz帯をRFIDタグ用途に使える環境が整った。今後、日本国内で920MHz帯のRFIDタグや送受信機の普及が予想される。国内メーカーが関連製品を海外に売り込む動きも加速しそうだ。

 大日本印刷の従来製品は、既にカルチュア・コンビニエンス・クラブが運営する「代官山 蔦屋書店」で、レンタルソフトの商品管理のために利用されている。