写真1●NTTドコモの加藤薫社長
写真1●NTTドコモの加藤薫社長
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写真2●スマートフォンの販売台数
写真2●スマートフォンの販売台数
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写真3●パケット収入の推移
写真3●パケット収入の推移
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写真4●今冬から電話帳やspモードメールのマルチデバイス化を開始
写真4●今冬から電話帳やspモードメールのマルチデバイス化を開始
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 NTTドコモは2012年7月27日、2012年度第1四半期(2012年4月~6月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比2.4%増の1兆722億8100万円、営業利益は同1.9%減の2626億2700万円となり、増収減益だった。ただし純利益は、法人税の減少の影響などで、同3.5%増の1643億円となった。

 売り上げ増加の要因はパケット収入の伸びや、総販売台数が同11.2%増の517万台となったことなど。しかし、端末販売費用の増加などによって僅かに営業利益は減った。

 同社は今期、2期連続となる増収増益の業績予想を掲げている(関連記事)。同社の加藤薫社長(写真1)は、「営業利益を通年で9000億円にする目標に向けて堅調な決算」と説明。「増収増益に向けて、力強い、着実な成果が得られた」と強調した。

スマホ販売は好調だが純増数では苦戦

 同社の収益の原動力となっているのは、パケット収入増をもたらすスマートフォンである。4月~6月のスマートフォンの販売台数は前年同期比で2倍近い数値となる249万台(写真2)。パケット収入は前年同期比9%増の4851億円となった(写真3)。

 スマートフォン販売は7月も好調で、4月以来の通算販売台数は既に350万台を上回っているという。年間販売台数は1300万台を目標としている。

 一方、純増数と解約数は厳しい状況が続いている。4~6月の純増数は27万契約、解約率は0.74%に上昇した。これはソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「PlayStation Vita」向けに用意したデータ通信専用プリペイドプランの大量解約の影響も大きいという(関連記事)。このデータ通信用プリペイドプランの影響を除けば、純増数は40万契約、解約率は0.67%となる。同社は年間の純増数目標を280万件としているが、現時点でその目標は見直していない。

 なお4~6月の統合ARPU(音声ARPU+パケットARPU、ARPUは1契約当たりの月間平均収入のこと)は、前年同期比6.3%減の4650円。音声ARPUは同18.8%減の1900円、パケットARPUは同5%増の2750円となっている。ただし同社は、端末の2台持ちやプリペイドの影響によって正確なトレンドが把握できないとして、ARPUによる指標は前面に出していない。今年度からARPUを積み上げた総パケット収入、総携帯電話収入に改めている。

電話帳のソーシャルグラフを使ったサービスも模索

 新たなサービスとしては、2012年冬から電話帳やspモードメールをマルチデバイス環境に対応させていくことを公表した。最新の電話帳データ、メールデータをクラウド上に置くことで、どのデバイスからも情報にアクセスできるようにし、様々な付加価値サービスを提供していく考えを示した(写真4)。

 特に強調したのが電話帳の有効活用だ。加藤社長は「電話帳は、利用者の人間関係の集大成の一面があり、タッチーな部分はあるが、一方で利用者に有用な情報を提供できる可能性が大きい」と説明。電話帳のソーシャルグラフの面を生かした、新たなサービスを模索する考えを見せた。

 ただし電話帳は、利用者本人の同意を取った場合でも、電話帳データに含まれる個々のユーザーに対しては同意を取ったことにはならない。この点について加藤社長は「利用者本人への同意はもちろんだが、どこまで同意を取るべきなのか。検討していきたい」と答えた。

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