写真●「IT Japan 2012」に登壇した森田直行氏。京セラグループの重鎮でJALの経営再建にも携わっている(写真:中根祥文)
写真●「IT Japan 2012」に登壇した森田直行氏。京セラグループの重鎮でJALの経営再建にも携わっている(写真:中根祥文)
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 日本航空(JAL)の再生を進めるうえで、京セラ流の「アメーバ経営」が大きな役割を果たしている--京セラグループ企業であるKCCSマネジメントコンサルティング(KCMC)代表取締役会長で、JAL特別顧問を務める森田直行氏は2012年7月6日、日経BP社主催のイベント「IT Japan 2012」で「アメーバ経営と経営改革」と題して講演した。

 アメーバ経営(キーワード解説記事)とは京セラが実践している経営手法。組織を少人数のアメーバ(小集団)に分けて、1カ月など短いサイクルで採算を管理し、リーダーやメンバーの自立を促しながら経営改善を図るものだ。

 JALは2012年3月期に営業利益2049億円、当期純利益1866億円という好業績を上げた。この裏でアメーバ経営が重要な役割を果たした。

 森田氏は1967年、拡大期の京セラに入社し、創業者である稲盛和夫氏(現取締役名誉会長)からアメーバ経営を直伝された右腕だ(関連記事)。会社更生法適用を申請したJALの再生を託され2010年2月にJAL会長に就任した稲盛氏は、森田氏を副社長執行役員に任命し、補佐役とした。

 森田氏は、JAL再生の道筋を内部の視点から詳細に話した。「稲盛さんは『更生計画を着実に実行していけば、JAL再生は必ず成功する』と決意を語っていた」。ただし計画の中身は1万6000人もの社員のリストラ、企業年金制度の改定、地方路線の廃止や機体小型化など、どれを取っても実行が困難でこれまで手付かずだったものばかりだ。