2012年6月6日午前9時(日本時間)に始まったIPv6普及のための世界規模のイベント「World IPv6 Launch」。開始から約12時間が経過した6月6日午後9時現在、国内のいくつかの大手インターネット接続事業者(ISP)や通信事業者などに問い合わせたところでは、大きなトラブルは発生していないもようだ。
World IPv6 Launchは、世界の大手Webサイトなどを運用するコンテンツ事業者、通信事業者、ネットワーク機器ベンダーなどがこの日以降、IPv6への恒久的な対応を目指すイベント。その開始にあたっては、IPv4/IPv6両対応のWebサイトに接続する際に「一部のユーザーに接続の遅延、失敗などの不具合が生じる可能性」があると言われていた。
こうした問題は「IPv6-IPv4フォールバック問題」などと呼ばれる。日本では特に、NTT東日本/西日本の「フレッツ 光ネクスト」や「Bフレッツ」を利用し、かつIPv6インターネット接続契約をしていない一部ユーザーに、IPv6-IPv4フォールバック問題が起こりやすくなると指摘されていた(関連記事)。だが、一部ISPやコンテンツ事業者などがIPv6-IPv4フォールバック問題を軽減する対策を講じたこともあり、国内のインターネット利用ユーザーには、今のところ目立った混乱は起こっていない。
その回避策の一つが、一部のISPが自社運用のキャッシュDNSサーバーに導入したAAAAフィルターだ。DNSサーバーは、IPv4アドレスの問い合わせにはAレコードで、IPv6アドレスの問い合わせにはAAAAレコードで応答を返す。このうちAAAAレコードをエンドユーザーに送らないようにする仕組みがAAAAフィルターである。
日経NETWORK編集部では、AAAAフィルターの導入を表明していないNECビッグローブ、ODNなどのISPに6月6日の夕方時点での状況を確認した。また、一部のスマートフォンで「https」による接続を試みた際に、Webサイトが閲覧できないといった問題が起こる可能性があると発表していたNTTドコモやKDDIにも状況を確認した(NTTドコモのWebサイト 、KDDIのWebサイト)。しかし、いずれのISP、通信事業者も6月6日の夕方時点では、「サポートセンターへの問い合わせ状況などは6月5日以前と変わらず、特に問題は報告されていない」(各社広報)との回答だった。
なお、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)では、AAAAフィルターの適用の有無などを含めてISP各社のWorld IPv6 Launch対策状況をまとめて公開している(「World IPv6 Launchについてのご案内」)。各自が加入しているISPの状況はどうなっているか、一度確認しておくとよいだろう。
World IPv6 Launchは期間限定のイベントではなく、6月6日以降、IPv6に恒久的に対応していこうという試みである。そのため、現時点で大きな問題は起こっていないとしても、今後、IPv6-IPv4フォールバック問題などで接続不良に見舞われるユーザーが出てこないとは限らない。通信がうまくいかない場合は、ISP各社や通信事業者のWebサイトで紹介されている回避策を試してみるとよい。また、パソコンなどの端末で「ポリシーテーブル」と呼ばれる情報を変更するといった対策もある(関連記事の「Q4」)。