2012年6月6日、日本時間の9時からIPv6普及のための世界規模のイベント「World IPv6 Launch」が開催される。これは2011年6月8日の「World IPv6 Day」に続くイベントとして企画された。World IPv6 Dayは世界のWebサイトが24時間限定でIPv6に“一時的に対応”する実験的なイベントだった。World IPv6 Launchでは期間を限定せず、世界の大手通信事業者、ネットワーク機器ベンダー、コンテンツ事業者などが、この日以降IPv6に“ずっと対応”することになる。

 World IPv6 LaunchのWebサイトを見ると「THIS TIME IT IS FOR REAL」と大書きされていて、6月6日を境にインターネット全体がいきなりIPv6になってしまうような錯覚に陥るが、実際はそんなことはない。6月6日はむしろ、「今後始まる長期的な変化を象徴する始まりの日」という位置づけと考えた方がよい。今回は、World IPv6 Launchに関してエンドユーザー目線で見た場合の四つの素朴な疑問を整理しておこう。

Q1.そもそもWorld IPv6 Launchにおける「IPv6対応」って何を指すの?

Q2.ある日を境にIPv6に“ずっと対応”する企業が増えて、何か問題は起こらないの?

Q3.サービス提供側は起こった問題にどう対応するの?

Q4.エンドユーザー側でできる対策はあるの?

という、シンプルな問いである。一部のクエスチョンの内容をご存じの方は、分からないところからお読みいただいても構わない。

Q1.そもそもWorld IPv6 Launchにおける「IPv6対応」って何を指すの?

 World IPv6 Launchの参加条件は、(1)Webサイトを運用する事業者、(2)ネットワークを運用する事業者(ISPなど)、(3)家庭向けルーターのベンダー――という3種類の業種ごとに定義されている。

 (1)のWebサイトを運用する事業者が参加する際は、主要なWebサイトをIPv6に対応させることが条件となる。(2)は、6月6日の段階で自社のインターネット接続サービス契約者のうち1%以上にIPv6対応のWebサイトにアクセスできる環境を用意し、今後はデフォルトでIPv6を有効にするというもの。(3)については、ネットワーク機器ベンダーが参加する場合、自社の家庭向けルーターにおいてIPv6をデフォルトで有効にすることが条件になる。

既存のIPv4コンテンツが使えなくなるわけではない

 日本からは、すでにKDDIが参加を表明している。そのほか米AT&T、米アカマイ、米グーグル、米コムキャスト、米シスコシステムズ、米フェイスブック、米マイクロソフト、米ヤフーといった大手企業も参加する見通しだ。どんな企業が参加するかは、World IPv6 LaunchのWebサイトで一覧を確認できる。

 なお、IPv6対応のWebサイトやルーターが増えたからといって、既存のIPv4インターネットのコンテンツが使えなくなるわけではない。当分はIPv4とIPv6を併用することになる。そのためエンドユーザーから見た場合、Webサイトが提供する機能などに関しては、基本的にWorld IPv6 Launch前後で大きな変化はないと考えてよい。