米IDCが現地時間2012年5月3日までにまとめた世界のタブレット端末(メディアタブレット)の出荷台数調査によると、同年第1四半期(1~3月)の出荷台数は1740万台で、IDCの事前予測値より120万台少なかった。

 第1四半期は、年末商戦のある第4四半期(10~12月)に比べ出荷台数が減少する傾向にある。IDCは過去最高を記録した2011年第4四半期から34%減少すると予想していたが、実際の減少幅はそれよりも大きい38.4%だった。ただし、タブレット市場は成長しており、前年同期の790万台からは120%増と堅調に伸びている。

 IDCのリサーチディレクターのTom Mainelli氏は、「一部のAndroid端末メーカーを除けば、すべてのメーカーが第4四半期から大幅に減少した。そうした中、iPadが大きく伸びており、Appleはその強い市場支配力を再び示した」と述べている。「デジタルコンテンツの消費という用途だけでなく多目的端末というiPadの位置付けが、消費者や教育機関、法人分野の購買担当者の心に深く響いている」(同氏)という。新モデルの投入と同時に前モデル「iPad 2」の価格を下げたことも奏功したと同氏は分析している。

 2012年第1四半期におけるiPadの出荷台数は1180万台で、年末商戦のあった2011年第4四半期の1540万台から減少したものの、出荷台数ベースの世界シェアは第4四半期の54.7%から68%に上昇した。一方、米Amazon.comの「Kindle Fire」は第4四半期に480万台を出荷して16.8%のシェアを獲得していたが、第1四半期には4%を若干上回る程度まで落ち込み、シェアの順位も3位に転落。Amazonに代わって韓国Samsung Electronicsが2位となった。この後、4位に中国Lenovo Group(聯想集団)、5位に米Barnes & Nobleが入っている。

 IDCは今後、Amazonが大画面で低価格の新端末を市場投入すること、米Googleも台湾ASUSTeK Computerとの共同ブランドでKindle Fireに対抗できる価格帯の端末を投入することを予測している。今年第4四半期の市場投入が見込まれる米Microsoftの「Windows 8」、あるいはそのARM版「Windows RT」の端末が世界のタブレット市場に及ぼす影響については、「現時点では分からないが、価格帯が消費者市場においては重要な鍵になる」と指摘している(関連記事:「Windows 8」搭載タブレット、年内に32機種投入との報道)。

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