総務省は2012年2月29日、900MHz帯の割り当て申請についてソフトバンクモバイルの申請を認定することを電波監理審議会に諮問し、適当とする答申を得たと発表した(関連記事)。
電波監理審議会後の会見で、審議会会長の前田忠昭氏が審議会の諮問結果について説明した。その後、総務省内での審査の経緯について総務省の担当者が説明した。
総務省によると、(基準A)既存事業者の移行促進計画がより充実していること、(基準B)MVNO提供計画がより充実していること、(基準C)割り当てられている周波数帯の有無や差異、周波数幅に対する契約者数の程度という比較基準を設定した。各基準に4点を配点し、最大12点とした。審査の結果、ソフトバンクモバイルが9点、イー・アクセスが8点、NTTドコモとKDDIが5点となり、ソフトバンクモバイルの適合度合いが最も高いと判断したという。
ソフトバンクモバイルとイー・アクセスの差が付いたのは(基準C)という。ここでは900MHz帯と同等特性の周波数を持たない場合は2点、割り当て周波数幅に対する契約数の割合が大きい場合は2点を加点した。ソフトバンクモバイルは4点を獲得し、イー・アクセスは「割り当て周波数幅に対する契約数の割合が大きい場合」で加点がなく、合計2点となった。
契約数の割合は1MHz当たりの契約者数の4事業者平均より高いか低いかで比較した。その基準について総務省は、「加重平均も議論したが、どの程度加重するかも難しい。ここは淡々と4事業者の平均を基準とした」と説明した。
700MHz帯の割り当て基準も公表
総務省は700MHz帯の割り当て基準も合わせて公表した。それによると、割り当て周波数は10MHz×2を3事業者に割り当てるというものである。700MHz帯を希望する事業者は、900MHz帯の割り当てを受けるソフトバンクモバイルよりも優先される基準になっている。仮に今回割り当てを受けなかったNTTドコモとKDDI、イー・アクセスが希望する場合はこの3事業者で決定することになる。
割り当て時期について総務省は、「早ければ夏」と回答した。実際に電波が利用可能のなる時期は「周波数を移行するFPUや特定ラジオマイクの移行スケジュールおよび移行先で使うシステム開発の進捗による。早ければ2013年夏や後半から順次利用可能になっていくのではないか」という見方を示した。
割り当て周波数については15MHz×2を2事業者という携帯業界の見立てもあったが、「できる限り多くの事業者に割り当てて、競争を促したい。今回の900MHz帯の割り当て申請でもLTEへの割り当ては4事業者とも10MHz×2だったことも勘案した」という。
審査基準については、必ず満たす基準として移行費用負担額の最低基準が600億円であること、2019年度末までのLTE人口カバー率が80%であること、地上デジタル放送について、受信障害の防止および解消措置に関する計画があることとなどが900MHz帯の場合と異なる。競願時の審査基準は、移行費用負担額の多寡の上限を1500億円と設定したことや、LTE人口カバー率の高さを確認する時期を2019年度末に設定した以外は、900MHz帯から変更はないという。