米国議会で審議されているオンライン海賊行為防止法案への抗議として、オンライン百科事典「Wikipedia」やソーシャルニュースサイトの「reddit」などが現地時間2012年1月18日にサービスを一時停止すると宣言しているが、米Googleも抗議に参加することが分かった。

 米メディア各社の報道(CNET News.comBloomberg)によると、Googleは1月18日、米国サイトのホームページ上に抗議の姿勢を明示するリンクを掲載する。Google広報担当のSamantha Smith氏は「われわれはこれら法案に反対する。米国企業にインターネットを検閲させることなく、不正な海外サイトのみを遮断させる効果的な方法はほかにある」と述べている。リンクをどのようなかたちで表示するかについては明らかにしていないが、ロゴと置き換えることはしないという。

 米国では現在、オンラインにおける著作権侵害行為を防止する法案として上院で「Protect Intellectual Property Act(PIPA)」、下院で「Stop Online Piracy Act(SOPA)」が審議されており、映画および音楽業界はこれら法案を歓迎している。しかし、Googleをはじめ米Facebook、米Twitter、米Yahoo!などのネット関連企業や米電子フロンティア財団(EFF)は、国外サイトによるオンライン海賊行為を防止するという主要目的は理解しながらも、国内インターネットおよび技術企業に制約を与える内容だとして異議を唱えている。米ホワイトハウスも同様の懸念を示す声明を1月14日に発表した(関連記事:ホワイトハウス、オンライン海賊行為防止法案の不支持を表明)。

 反対派が特に問題視しているのは、DNS(ドメイン名システム)に手を加えてコンテンツを振り分ける手法をSOPAで提案していることで、ホワイトハウスは「サイバーセキュリティを真のリスクにさらし、一方で不正商品やサービスをアクセス可能な状態に放置する危険性がある」と指摘している。

 Wikipedia共同創設者であるJimmy Wales氏は1月16日、Twitterへのツイートで抗議行動の実施を宣言した(関連記事:Wikipediaが1月18日にサービスを停止、SOPAへの抗議行動)。1月18日午前0時から24時間、英語版サイトを停止する。

 しかしTwitterは抗議行動には参加しない。同社最高経営責任者(CEO)のDick Costolo氏は、「国内のシングルイシューポリティクス(単一争点のみ巡る政治運動)に反応してグローバル事業を停止するなどばかげている」とツイートしている。

 一方、法案支持派である全米映画協会(MPAA)は1月17日に声明(PDF文書)を発表し、「(抗議行動は)情報を得るためにサービスを利用し、頼りにしているユーザーに対して無責任な対応であり、ひどい仕打ちだ」と批判した。