非営利団体の米Wikimedia Foundationが運営するオンライン百科事典「Wikipedia」は、オンライン海賊行為防止法案への抗議行動として、現地時間2012年1月18日にサービスを停止する。Wikipedia共同創設者であるJimmy Wales氏が1月16日、ミニブログサービス「Twitter」へのツイートで明らかにした。

 米国では現在、オンラインにおける著作権侵害行為を防止する法案として上院で「Protect Intellectual Property Act(PIPA)」、下院で「Stop Online Piracy Act(SOPA)」が審議されており、映画業界などはこれら法案を歓迎している。しかし、米Googleや米Facebook、米Twitter、米Yahoo!をはじめとするネット関連企業や、米電子フロンティア財団(EFF)などは、国外サイトによるオンライン海賊行為を防止するという主要目的は理解しながらも、国内インターネットおよび技術企業に制約を与える内容だとして異議を唱えている。米ホワイトハウスも同様の懸念を示す声明を1月14日に発表した(関連記事:ホワイトハウス、オンライン海賊行為防止法案の不支持を表明)。

 反対派が特に問題視しているのは、DNS(ドメイン名システム)に手を加えてコンテンツを振り分ける手法をSOPAで提案していることで、ホワイトハウスは「サイバーセキュリティを真のリスクにさらし、一方で不正商品やサービスをアクセス可能な状態に放置する危険性がある」と指摘している。

 SOPAは棚上げの噂が出ているが、Wales氏はTwitterに「SOPAが完全に取り下げられたとは確認されていない。PIPAは依然として審議が進められている。われわれは大きなメッセージをワシントンに送る必要がある」とツイートし、さらに「学生諸君に警告!宿題を早くやってしまうように。Wikipediaは水曜日、悪法に抗議する」とコメントを投稿した。

 英メディアの報道(Reuters)によると、Wikipediaは東部標準時1月18日0時から24時間、英語版サイトを停止する予定。またソーシャルニュースサイトの「reddit」も同様に1月18日午前8時から午後8時までサービスを停止する計画を公式ブログで宣言している。