基幹系システム構築やコンサルティングを手がける中本・アンド・アソシエイツは2012年1月10日、ERP(統合基幹業務システム)パッケージの機能をプライベートクラウド形式で利用できる新サービスの提供を開始する。アジアを中心にグローバルにビジネスを展開する年商100億円以下の製造業や卸が対象。「導入期間は2カ月が標準。初期費用を含めたシステムコストは、従来の3分の1から4分の1となる」と、松山克己 プリンシパルコンサルタントは話す。

 新サービスの名称は「グローバルERP&需要予測クラウド by Nakamoto」。日本オラクルのERPパッケージ「JD Edwards EnterpriseOne」の会計・物流関連の機能に、中本・アンド・アソシエイツが開発したテンプレートや需要予測機能を組み合わせて、プライベートクラウドのサービスとして提供する。KDDIのプライベートクラウド環境「Virtualデータセンター」上にERPのシステム環境を構築し、世界の各拠点から利用可能にする。

 提供するJD Edwardsの機能は、会計、受発注、購買・販売管理、在庫管理など。テンプレートとしては、まず中国での法定帳簿対応の機能を提供する。テンプレートの種類は順次増やしていく方針。需要予測機能は、Excelのアドインソフトとして予測モデリングやモンテカルロ法によるシミュレーションなどを可能にする「Oracle Crystal Ball」を基に、中本・アンド・アソシエイツが開発したものだ。

 価格は初期費用が500万円から、月額使用料が138万円(5ユーザー)から。JD Edwardsをオンプレミス(サーバー設置)型で導入する場合、「会計と物流部分で6カ月が基本」(松山プリンシパルコンサルタント)。新サービスでは、その3分の1の期間で導入できることになる。その代わりに、「必要最低限の画面や帳票を除いて、アドオン(追加開発)はできるだけしない方針」(同)とする。

 日本オラクルは2011年7月、JD Edwardsをクラウドで提供すると発表(関連記事:オラクル、中堅企業向けERP「JD Edwards EnterpriseOne」をクラウド展開)。パートナーと組んで、グローバルにビジネスを展開する中堅・中小企業向けにERPをクラウドサービスとして提供する方針を打ち出した。中本・アンド・アソシエイツの新サービスは、この方針に基づくものだ。「中国などにパートナーを持ち、グローバルなサポート体制を採れるのも当社の強み」と松山プリンシパルコンサルタントは話す。初年度5件の導入を目指す。