米T-Mobile USA買収計画について米司法省(DOJ)から独占禁止法訴訟を提起された米AT&Tは、これに反論する文書を米国時間2011年9月9日に提出した。同買収無くして米国消費者に十分なサービスを提供することは難しいとして、緊急審問会を求めるとともに、買収成立に向けて解決策に取り組む姿勢を見せている。

 AT&Tは今年3月20日にT-Mobile USAを約390億ドルで買収する計画を発表したが、これにより米国無線市場はAT&Tと米Verizon Wirelessの複占状態が進むとの懸念から、米Sprint Nextelなどが強く反発した。こうした中、DOJは8月31日に、同買収が市場競争を著しく阻害する可能性があると判断し、独占禁止法訴訟を起こしたことを明らかにした(関連記事:米当局がAT&TのT-Mobile買収阻止に向け提訴)。

 AT&Tは提出文書の中で、DOJは同買収によって実現する大幅な効率化から目を背けていると主張。現在のモバイル通信市場における競争状態や、無線通信業界の動的な性質、同買収による市場競争や消費者へのポジティブな影響を正確に把握できていないと批判した。無線通信市場の競争は激しく、料金は着実に下がり、驚異的なペースで革新が進んでいると説明し、AT&TとT-Mobile USA、およびVerizonとSprintの4社だけでなく、米MetroPCSや米Leap/Cricketといった新規プロバイダーも参入を遂げていることを挙げ、「DOJは無線通信市場の競争が活発であることを見落としている」と指摘した。

 AT&Tは文書を提出するとともに、「当社は解決策を見出せると確信しており、サービス向上、米国民5500万人へのLTEネットワーク拡張、80億ドルの追加投資、コールセンターの5000人の新規採用という形で買収の恩恵をもたらしたい」とコメントした。

[AT&Tのプレスリリース]
[DOJへの提出書類(PDF文書)]