約9600億円で米モトローラ・モビリティを買収すると発表した米グーグル(関連記事)。同社のラリー・ペイジCEO、アンディ・ルービン モバイル部門上級副社長、米モトローラ・モビリティのサンジェイ・ジャCEOらが参加し、米国東部標準時の2011年8月15日8時30分から開始されたカンファレンスコールでは、「(特許訴訟から)Androidのエコシステムを守るため」という言葉が繰り返されるなど、背景に特許戦争があることが浮かび上がってきた。

 Androidを巡っては、Androidのライセンスを受けて端末を製造している台湾HTCやモトローラ・モビリティなどが、ライバルとなる米アップルや米マイクロソフトから相次いで特許訴訟を起こされている(関連記事)。

 さらに2011年7月には、経営破綻したカナダ ノーテルネットワークスの約6000の特許のオークションについてグーグルが入札したものの、“反グーグル連合”とも言えるアップル、米マイクロソフト、カナダ リサーチ・イン・モーション、米EMC、スウェーデン エリクソンなどによるコンソーシアムにグーグルは破れた(関連記事)。

 このような一連の特許攻撃に対してグーグルは、「まやかしの特許をかざした敵意ある組織的な攻撃」(関連記事)とライバル会社を激しく避難する声明を発表していた。

 訴訟の集中砲火を浴びつつあったグーグルおよびAndroidだが、「発行済みの特許は1万7000件以上、出願中の特許は約7500件ある」(モトローラ・モビリティのジャCEO)と多数の特許を保有するモトローラ・モビリティを手中に収めることで、特許ポートフォリオを大幅に強化し、訴訟リスクを減らせる。「Androidのエコシステムを守れることにエキサイトしている」(ペイジCEO)という言葉の通り、今回のモトローラ・モビリティの買収は、攻めというよりは、守りの意識が強いようだ。

 Android OSを採用する大手端末メーカーである韓国サムスン電子や英ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ、台湾HTC、韓国LG電子は、グーグルによるモトローラ・モビリティの買収について、いずれも「グーグルがAndroidの防御に注力することに対して歓迎する」というコメントを発表している(発表資料)。