米Amazon.comは現地時間2011年8月10日、専用アプリケーションを使うことなく、同社が販売する電子書籍を閲覧したり、購入したりできるWebアプリケーション「Kindle Cloud Reader」を公開したと発表した。同日時点で対応しているWebブラウザーは米Appleの「Safari」(Mac/Windows/iPad版)と、米Googleの「Chrome」(Mac/Windows/Linux/Chromebook版)。

 Amazonは、AppleのモバイルOS「iOS」搭載端末向けに電子書籍リーダーアプリケーションを提供しているが、Appleの規定により、アプリケーション内で販売するコンテンツは売り上げの30%をAppleに徴収されている。またアプリケーション内から自社コンテンツストアにリンクを張ることもAppleから禁じられたため、Amazonは7月にKindleコンテンツ配信サイト「Kindle Store」へのリンクを削除した電子書籍リーダー新版を公開したばかりだ。

 Amazonは今回のWebアプリケーションでそうしたAppleの規定を回避するものと見られる(関連記事:iPhone/iPadアプリの提供各社、App Storeのポリシー変更に対応)。

 AmazonのKindle部門ディレクターのDorothy Nicholls氏は、「(Kindle Cloud Readerは)HTML5を使って我々が一から開発したWebアプリケーションだ。柔軟性に富むHTML5を採用したことで、ChromeからiOSまで様々なプラットフォームに対応できた」と述べている。特にiPad版では、同端末の画面サイズやタッチスクリーンに最適化しており、「書籍の購入が手軽で楽しいものになる」(同氏)としている。

 Kindle Cloud Readerでは、オフライン環境でもコンテンツを閲覧でき、ページレイアウト、フォントのサイズや色、背景色などを好みに応じてカスタマイズできる。また、Amazonのリーダー端末「Kindle」や、iOS、Androidなどの専用アプリケーションとコンテンツを同期できる。最後に読んだページ、しおり、ノート、ハイライト表示といった情報も端末/アプリケーション間で同期する。

 Amazonは、今後も対応Webブラウザーを増やしていく予定。Internet Explorer(IE)やFirefoxのほか、カナダResearch In Motion(RIM)のタブレット端末「BlackBerry PlayBook」などにも数カ月以内に対応するとしている。

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