Sahanaの画面例(sahana.jp)
Sahanaの画面例(sahana.jp)
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 岩手県と山形県がオープンソースソフトウエア(OSS)の被災者支援システム「Sahana」を活用していることが明らかになった。日本IBMは2011年6月13日、両県のSahana活用を支援していると発表した。Sahana Japan Teamおよび、ひょうごんテックと協力し支援を行っている。

 Sahanaは、避難所や支援物資、支援要請などの情報を登録し、地図上に表示できるシステム。2004年、スマトラ島沖地震の津波災害をきっかけにスリランカで開発され、現在は非営利組織Sahana Software Foundationが開発している。

 2005年のパキスタン カシミール地方の地震、2006年のインドネシア ジャワ島の地震などでも活用された。日本ではSahanaの日本コミュニティであるSahana Japan Teamと、NPOに対してICTの支援を行っている任意団体のひょうごんテックが日本語化に取り組んできた。

 岩手県では、陸前高田市の全避難所の状況や被災者の情報をSahanaで一元的に管理している。管理している情報は各避難所の避難者人数、在宅で避難所に通ってくる被災者の人数、災害弱者の人数、各避難所のライフライン復旧情報、必要物資の要望など。以前は自衛隊が各避難所を巡回して必要な物資の要望を聞き取り調査していたが、それぞれの避難所から直接、Androidタブレットを使って物資ニーズを入力できるようにした。Androidタブレットは、日本サムスンが被災地支援のために無償で貸し出している「Galaxy Tab」を使用している。

 山形県では、避難所からホテルやアパートへ二次避難した被災者の情報をSahanaで管理している。山形県は福島県からの避難者を受け入れている支援県であり、避難者の二次避難を進めている。Sahanaを活用することで、避難者の情報を避難場所別、出身地別などで容易に把握できるようになったという。

 日本IBMは東日本大震災発生後、ひょうごんテックからの要請を受け、Sahana Japan Teamに同社のクラウドサービスを無償提供した。その後、使い勝手や画面の見やすさの改善やAndroid端末への対応、動作速度の改善、災害弱者把握機能や避難者管理機能の追加などの改良も実施。データベースへの基礎情報の入力、タブレットのセットアップ、避難所への展開と利用方法のガイドなど自治体での利用支援を行った。

 またSahana Japan TeamはIBMのクラウドサービス上で、自治体やボランティア団体向けにSahanaを無償で利用できるサイト「sahana.jp(Public Sahana)」を開設している(関連記事)。