米Texas Instruments(TI)は米国時間2011年4月18日、2011年第1四半期の決算を発表した。売上高は前年同期に比べ5.8%増の33億9200万ドル。純利益は6億6600万ドルで同1%増にとどまった。1株当たり利益は55セントだった。

 TIは東日本大震災の影響を受け、福島県の会津工場と茨城県の美浦工場に損傷が発生したことを明らかにしていた。当期は震災の影響で3000万ドルの費用が発生し、1株当たり利益を2セント押し下げた。米メディア(Wall Street Journal)によると、TIのIR担当副社長Ron Slaymaker氏は、震災の影響で2000万ドルの売り上げ減が発生したとも話している(関連記事:TI、東日本大震災で茨城県の工場設備に「大きな損傷」)。

 国内の2工場のうち一つはまもなく全面再稼働する予定。もう一つはウエハー前工程の生産をすでに開始しており、6月中旬にも全面稼働できると見込む。ただし、同社は「日本国内の多くの顧客がまだ操業再開の初期段階にあり、サプライチェーンの寸断というリスク要因もある」と説明している。第2四半期の業績は、日本国内の諸条件の影響を受けることが予想されるが成長する見通しで、「消費者、法人需要が回復すれば2011年の下半期は順調」としている。

 当期の業績を事業別に見ると、アナログ部門の売上高は前年同期比12%の増収となり、組み込みプロセシング部門では同21%増だった。一方ワイヤレス部門は同8%減、その他の部門でも同2%減少した。受注額は35億8000万ドルとなり、前年同期から2%減少。前期からは14%増加した。

 TIの会長兼最高経営責任者(CEO)のRich Templeton氏は、「1月と2月は需要も高まり順調に推移していた。しかし震災の影響で3月中旬から需要が停滞し、生産への影響も出た。これに加えワイヤレスベースバンドチップの著しい需要悪化で、売り上げは予想レンジの中間値を下回った」と述べている。

 2011年第2四半期の業績見通しは、売上高が34億1000万~36億9000万ドルと予測している。また1株当たり利益は、震災関連の影響で約5セント引き下げ、52~60セントの範囲と見ている。

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