半導体メーカーの米テキサス・インスツルメンツ(TI)は2011年3月30日、東日本大震災によって大きな被害を受けた美浦工場(茨城県、関連記事)および会津工場(福島県)の国内2工場において、全面再稼働のための復旧作業が順調に進んでいることを明らかにした。

 まず美浦工場では、シリコンウエハーの製造に必要な水およびガス、化学薬品、空調を供給するためのインフラシステムの補修工事が27日に完了、クリーン・ルームにも問題がないことを確認したという。また、生産装置の通電確認も90パーセント以上が終了したとしている。

 TIによれば、同工場での初期生産再開は4月中旬、全面稼働は7月中旬を見込んでいるという。全面稼働に基づく製品の出荷は9月になる予定。現在は、同工場のウエハー生産量の80パーセント以上を米テキサス州ダラスおよびリチャードソン、ドイツのフライジングにある工場が代替生産しているという。

 会津工場については、既に初期生産が再開されており、4月中旬の全面稼働に向けて復旧作業が予定通りに進んでいるとした。ただし、同社では上述した美浦工場および会津工場での今後の生産再開予定は「電力の安定供給」が前提であるとしており、計画停電の実施状況などによっては変更になる可能性があるという。