半導体製品の製造を手がける日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2011年3月15日、震災による被害状況を報告した。それによると、同社の美浦工場(茨城県稲敷郡美浦村)が相当な被害を受けたことが明らかになったという。同工場は、2010年度の実績で、TI全体での生産量の約10パーセント(金額ベース)を生産している拠点である。

 日本TIによれば、被災状況は化学薬品やガス、水、空調を供給するためのインフラ・システムが破損し、修理に約3週間を要する見込みとなっているほか、漏水の発生により一部製造装置に被害などが発生しているという。電力の安定供給についても不透明であるとしている。工場の建屋にも若干の損傷があったものの、構造上の問題はないとした。

 美浦工場の生産再開は、最短で5月からとしており、工場の全面再稼働は7月中旬、それに伴う製品の出荷は9月を見込んでいるという。ただし、「電力供給の不安定化その他の要因により、設備の再稼働に支障が生じた場合、遅れるケースもありうる」(日本TI)としている。

 現在同社では、他の製造工場への生産の移行を進めており、既に美浦工場におけるウェハ処理量の約60パーセントを代替可能な製造拠点を特定できたという。今後、さらに追加で生産移行を実施することで代替率を引き上げるとしている。