写真●CSKの中西毅社長(左)と住商情報システムの中井戸信英会長兼社長(右)
写真●CSKの中西毅社長(左)と住商情報システムの中井戸信英会長兼社長(右)
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 住商情報システム(SCS)とCSKは2011年2月24日、11年10月1日付の経営統合に合意したと発表した。SCSがCSKを吸収合併し、新会社名は「SCSK」とする。新会社の社長にはSCSの中井戸信英会長兼社長(写真右)が就任する予定だ。「経営統合は、IT業界が右肩上がりに成長しなくなった今、どうやって生き残っていくかを考えた結果だ。CSKを救済する合併ではなく、対等合併だと思っている」と中井戸社長は強調した。

 両社の売り上げを合算すると2800億円(11年3月期予想)となり、ITホールディングスや伊藤忠テクノソリューションズなどと並ぶ規模となる。「流通や製造、金融など両社が強みとする業種は重なるが、各業界内で持つ顧客は重ならない。こうした点が今回の経営統合を決断する最大の要因となった。短期間で収益を上げやすいと判断した」と中井戸社長は話す。

 一方のCSKの中西毅社長(写真左)は「多角化を進めるなかで金融、不動産事業で多額の損失を出し、情報サービス産業を中心とする事業構造に転換した。IT業界のリーディングカンパニーになるためには、両社の人材や知財を統合していくしかないと考えた」と説明する。

 両社は2009年9月に、業務提携に向けた話し合いを開始すると発表済み
(関連記事:CSK HDが住商情報システムと業務提携へ、社長交代と資本増強策も発表 )。経営統合に至るまでに約1年半を要したことになる。

 このタイミングで経営統合を決めた理由について中井戸社長は、(1)CSKの金融や不動産事業で発生した不良資産の整理や債権回収に一定のめどが立った、(2)独立系のCSKと商社系のSCSという異なる成り立ちの企業の統合にはある程度、準備の時間が必要だと判断した、(3)業務提携の発表から長期間経つとCSKの企業価値が毀損する、との3点を挙げた。

 経営統合後の目標について中井戸社長は、「システム開発からITハード・ソフトの販売、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)までフルラインアップをそろえたグローバルITカンパニーになる」と掲げた。今後の具体的な中期経営計画は5月中旬にも発表する。

 SCSは住友商事とともにCSK株を1株203円でTOB(公開買い付け)を実施する。「4月中旬にはTOBが完了する見込み」(中井戸社長)だ。新会社を設立する10月1日まで、CSKは一時的に住友商事の子会社となる。その後、10月1日付で事業持ち株会社を設立し、傘下に「SCSカンパニー」と「CSKカンパニー」を設置する。SCSカンパニーのトップにはSCSの露口章副社長が、CSKカンパニーのトップにはCSKの中西社長が就く。