欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)はベルギーで現地時間2010年11月30日、プライバシー保護の新たな規定案について公式説明を行い、ユーザーの「忘れられる権利」の重要性を強調した。

 ECは11月4日に、プライバシー保護対策の強化に向け、1995年制定のデータ保護指令(EU Data Protection Directive)を見直し、ユーザーの「忘れられる権利」を盛り込んだ新たな規定を導入する意向を明らかにした(関連記事:ECがプライバシー保護の新規定案、「忘れられる権利」をユーザーに)。データが不要になった場合あるいはデータを消してほしい場合に、ユーザーが削除を要請する権利を持ってしかるべきだとしている。

 また同規定案では、個人情報の収集と使用を必要最小限にとどめること、個人情報が、誰によって、どのように、何のために、どれくらいの期間収集および使用されるかをユーザーに通知すること、またユーザーからは十分な説明をした上で同意を得ることなどを定めている。

 EC副委員長のViviane Reding氏は今回、「技術が急速に変化し、それに伴って新たな問題や課題が持ち上がっている。プライバシーは今や基準が頻繁に変化するムービングターゲットだ。新たなリスクに対処するには、より良い法的救済が必要になる」と、データ保護法見直しの必要性を説いた。さらに「現在、個人データは簡単にオンライン上で保存し、複製することができる。しかし、それを完全に消し去ることは容易ではない。友だちと情報を共有できる素晴らしいサイトがいくつもあるが、いつの日か、もうその情報を共有したくないと思うことがあるかもしれない」と述べ、「忘れられる権利」の重要性をあらためて強調した。

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