特許庁のシステム開発をめぐる贈収賄事件で、収賄罪に問われた同庁の先任審判官の志摩兆一郎被告と、贈賄罪に問われたNTTデータの元社員の沖良太郎被告の判決公判が2010年9月14日、東京地方裁判所で開かれた(関連記事)。東京地裁の河村俊哉裁判官は志摩被告に懲役2年、執行猶予4年、追徴金約256万円の有罪判決を言い渡した。沖被告は懲役10カ月、執行猶予3年の有罪判決だった。

 河村裁判官は志摩被告の判決理由として「公正中立な立場が求められる特許庁の審判官でありながら、特定の企業に便宜をはかるため、長期、多数、多額の賄賂を受け取っていたことは軽くみることはできない」と話した。沖被告の判決理由は「自ら主導して賄賂の供与を繰り返すきっかけを作った」とした。

 執行猶予を付与した理由として河村裁判官は、「両被告とも前科はなく、事実を認めて反省し、謝罪の気持ちをあらわにしている。志摩被告は公務員を失職することになり、沖被告は所属していた企業から解雇処分を受けた。酌むべき事情はあると考え、今回に限り刑の執行を猶予するものとする」と述べた。

 判決によると、志摩被告は2005年8月から2009年11月までの間に、次期基幹システムに関する情報の見返りに、沖被告から66回のタクシー代(合計約256万円)を受け取った。